司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 昨年政府が撤回した司法試験の年間合格者3000人の目標の復活を求める動きがあります。今年5月に発足した「ロースクールと法曹の未来を創る会」(久保利英明代表理事)は、7月に発表した法曹養成制度改革提言、司法制度改革審議会から13年経て、「日本社会は、ますます複雑化し、国際化」し、「法曹が果たすべき役割はますます大きくなっており、多様な能力と資質をもつ多数の法曹を輩出することが喫緊の課題」「法曹養成の中核となる法科大学院を発展させることが、こうした課題に答える唯一の方法」などと、同審議会の「改革」路線が色あせていないことを強調。改めて早期の年合格者3000人達成、司法試験を純粋な資格試験として合格者数上限撤廃、ロースクール(法科大学院)の全国的適正配置などを掲げました。また、10月には東京で「司法試験3000人合格を実現する国民大集会」を開催。参加者からは、「改革」路線維持を前提とした弁護士増員政策推進の方向堅持を求める声が出されています。彼らの主張のなかには、グローバル化に対応した国際分野への対応の強調や、弁護士側の努力・工夫でこの政策をのりきれるととらえた見方もあります。しかし、一方で、弁護士の仕事に対する需要に対する根本的な認識の問題をはじめ、対価性を無視したとらえ方がある点や、法科大学院制度擁護が目的化しているといった批判論も聞こえてきます。あなたは、この動きをどうご覧になりますか。弁護士、利用者・市民など幅広い立場からのご意見を求めます(最大800字以内、匿名可。弁護士・司法書士ともに所属会の記載を希望します)。
 参考: 「10/27『司法試験3000人合格を実現する国民大集会』書き起こし」(高瀬文人氏のブログ)
    「『司法試験3000人合格を実現する国民大集会』の感想 その1(岡田弁護士による為末さんについての発言)」(「Schulze BLOG」)
    「『司法試験3000人合格を実現する国民大集会』の感想 その2(需要の正体)」(「Schulze BLOG」)
    「『司法試験3000人合格を実現する国民大集会』は『司法試験撤廃を実現する国民大集会』の間違いやろ」(「福岡の家電弁護士のブログ」)

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コメント一覧
  • わざわざ増員する必要はありません。特別司法書士弁護士とか特別社会保険弁護士とか
    特別行政弁護士、特別税務弁護士等々、現在の官庁監督下の強制加入団体に所属する各種資格者を
    全部弁護士会の自治の下に合流させれば良いだけのことではありませんか。


    2020年7月13日 5:09 PM | 勝瑞 豊

  • 高齢化社会が世界一進む日本において、法曹人口はすでに過剰である。
    アメリカなどと、国民性も違い、何かが起きても、すぐに訴訟とはならない。
    法曹人口を安易に増やしても質の良い法律家が生まれる訳ではない。


    2016年1月29日 9:33 PM | M.Y

  •  しかるべき省庁が個別業務の処理資格(たとえば成年後見、交通事故訴訟等)の試験を設けるべきだと思います。
     例えば600万人の認知症患者のうち成年後見を士業へ依頼した人数の6割が、無断で財産を処分される等の被害に遭遇していると報道されています(https://archive.is/i0m0r)。確かに法律上、弁護士は成年後見をすることができますが、実際に求められているのは社会福祉士的な対応です。
     個人的には、交通事故事件に関する法的手続きを理解していない弁護士にも遭遇しました。

     ある種の専門的な業務については、個別の資格により制限を課すなどのことをしていかなければ、業界全体から客足が遠のくでしょう。
     弁護士はそれでも困らないかもしれませんが、顧客満足が全く得られなくとも業務らしきことさえしていれば済む、というものではありません。


    2015年6月19日 1:08 PM | リーガル・オンブズマン

  •  法科大学院への入学者が年間3000人を大きく割っている状態で、3000人合格目標の復活を求めることに意味があるとは思えません。
     
     弁護士を何人雇うかは、結局のところ、各法律事務所、企業、役所等の雇用者の側が決めることであり、当然のことながら、人件費、予算等の制限もあるので、日弁連や弁護士会の就職支援活動で就職先が大幅に増えるというものでもないと思います。
     仮に社会の様々な場所に弁護士をというのであれば、そのための予算や費用をどうするかも考えなくてはなりません。
     また、法科大学院、司法修習という法律家の育成制度自体にも多額の税金が投入されているので、そのあたりの費用対効果も考えるべきでしょう。


    2015年4月24日 6:01 PM | 大阪の弁護士

  • >就職活動支援を積極的に社会に働きかけない日弁連や弁護士会の活動(の杜撰さ)とは別問題で考えるべきです。

    アメリカの弁護士会でさえ、そんなことしません。就職は自己責任です。

    そして、アメリカでは多くの新人弁護士が就職できず、できるとしてもその多くが時給7ドルとか最低賃金です。

    不祥事も多発しており、MPREは独自の試験日をもうけてその1科目だけの為に実施されているほどです。

    ついでに言うと、アメリカのロースクールは、各州の弁護士会に年間数十万ドルから数百万ドルの会費を払っています。日本の法科大学院は、この話は絶対にしませんけどね。

    アメリカのロースクールの弁護士教授は、フルタイムとパートタイムを問わず、大変に高給ですので、優秀な人材が集まり、またロースクールの教授というのは肩書きとしての威力があります。日本の法科大学院では、予備校横滑りなどがサラリーマン並みの給与でフルタイム、パートタイム弁護士が週一で10万円以下(経費なし、準備時間を入れると時給1000円未満)なので、実力と仕事のある弁護士は協力できません。

    法科大学院や、そこから大量に粗製される弁護士が、アメリカよりひどいしろものになってしまうことは、十分予想できたことです。


    2014年11月13日 10:36 AM | 弁護士

  • 図書館で著作権や判例のことを聞く相手が、なぜ、国民の税金が投入されている法科大学院を出て、司法試験に合格し、研修所での教育を経た弁護士という資格者じゃなきゃいけないのですか。増員ありきだから、そういう発想になるのではないですか。潜在需要を、強調されるのは結構ですが、大衆はお金を投入しなければならないことになる、弁護士による事件化も、それに巻き込まれることも望んでいません。弁護士の出番が増えたり、彼らの食いぶちを増やす話になぜ、付き合わなければならないのでしょうか。


    2014年11月11日 9:49 AM | 一般大衆

  • 一般市民ですが、メリットのほうが遥かに大きいでしょう。様々な方が弁護士資格を持っていれば、安心して気軽に相談できます(自分が持っていればそれに越したことはありませんが)し、弁護士バーのアイディアは良かったのにいろいろ規制された結果が大変残念です。図書館に弁護士というのも著作権についてや判例について聞ける。会社側の顧問弁護士のみならず、労働者側弁護士も顧問で付けるべき。学校にも学校側と生徒側の顧問弁護士を付けるなど、潜在的需要はたくさんあります。就職活動支援を積極的に社会に働きかけない日弁連や弁護士会の活動(の杜撰さ)とは別問題で考えるべきです。勿論、弁護士会費の高さや不祥事問題や訴訟の乱発についても、増員したから増えるのではなく、日弁連や弁護士会が適切な監督や議論、活動をしてこなかったからであり、増員問題とは切り離して考えるべきでしょう。
    全部一緒にして考えるから「だいたい増員のせい」になるのでは?


    2014年11月11日 7:44 AM | 一般市民

  • 弁護士激増にこだわる方は、本当にメリットとデメリットを比較しているのでしょうか。どうみても、一般の市民には、デメリットの方が上回り、メリットは感じられません。食いつめた弁護士に金とり主義になられることも、その結果、おかしな弁護士に事件を増やされて、わけのわからない訴訟に巻き込まれることも、市民は望んでいません。


    2014年11月9日 1:03 PM | レイ

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