今回は、ネット活用、あるいは成果を出している弁護士事務所は、一体どんなことを考え、何をしているのか、ネット活用していない弁護士事務所とはどのような違いがあるのかについて書いてみたいと思います。
私が弁護士事務所のWEBコンサルティングをしていて感じるのは、ネット活用で成功している弁護士事務所は、そうでない弁護士事務所に比べ、端的にいって、ネットによる集客効果の凄さ、経営に与えるインパクト、さらに依頼者・市民側の変化を、よく理解しているということです。
当たり前のことかもしれませんが、ネット活用の可能性を、ある種の偏見や思い込みによらず、認めている。要は、彼らは単に、ネットを活用したいという意識レベルではなく、経験を通じてネット活用の効果を知り得ているといった印象も持っています。
そして、彼らのほとんどは、集客できるホームページを専門業者に依頼し、ネット広告によって新規相談者を集め、収益化しています。もちろん、さける費用の大小はありますが、ネットによる集客効果・メリットを熟知しており、ホームページの強化と事業拡大に余念がありません。さらに、ネット活用に先進的な弁護士事務所では、集客力を増すために、凄腕のWEBコンサルタントを採用し、広告費によるレバレッジをかけて莫大な収益を得ています。
その意味では、「集客できる」専門業者と書きましたが、少ない体験で、たまたま「集客できない」業者に当たってしまい、不幸にもネット活用のマイナスイメージを持ってしまった事務所、あるいは限界の方を強く印象付けせれてしまった方が、諦め感とともに、消極姿勢に転じたり、あまり期待感も持てないまま、ずるずると放置してしまっているという現実もあるように見えます。
いわゆる、過払い金返還請求の「バブル」は、弁護士の仕事としては、定型処理が可能な特殊性があったことも事実ですが、ある意味、ネットがこれまでになく活用をされ、上手く利用した事務所を大きく収益を伸ばしたという事実は否定できないように思います。
もちろんネットの集客方法について、弁護士の広告同様、懐疑的・批判的な意見も根強くあるのが現実です。司法改革の激増政策によって、弁護士過多の時代になり、粗悪な対応をする弁護士事務所も増え、それがネット活用のイメージと結び付けられている面もあります。ネットや広告を積極的に活用している弁護士によって、弁護士全体の質を落とされている、といった意見まで聞かれます。より資力があって、広告やネット展開を積極的にやれる弁護士が、依頼者・市民にとって良い弁護士とは限らない、という論法もあります。
ただ、弁護士といえども、相談者を獲得しなければ生きてはいけません。前記したような否定的なとらえ方がある一方で、「弁護士が事務所に何もせずに座っていて、依頼者がくる時代は終わった」という声もしきりと聞かれます。もし、依頼者・市民に近づけるホームページを、あなたが開設したことで、毎日、相談者からの電話が鳴ったらどうでしょうか。それでも、前記論法の立場にたって、「弁護士にふさわしくない」手段として、ネット戦略をやめるのでしょうか。
ネットで勝っている弁護士事務所は、ネット活用の価値を理解し、そこで得た利益を、さらにネット広告に投資していきます。勝っている弁護士がさらにネットを使い勝ち続けている。それがいまの弁護士業界のネット活用実態ではないかと思います。そして、もしネット上に、前記の懸念材料となる問題弁護士がいたとしても、市民にとって、善良な、役に立つ弁護士が、ネット戦略においても勝利をおさめ、ネットを使って弁護士にアクセスしようとする市民をよい方向に導けるのであれば、それに越したことはないようにも思えるのです。