今回は、弁護士のホームページ作成上で、何が重要なのかについて、感じてきたことを書きたいと思います。良く聞かれる「ホームページで反響が取れない」とか「集客できない」といったことを言われる方の場合、決まってホームページ上に、どういう情報を掲載すればいいのかといった基本的な問題が、まずクリアできていないということを、長年ホームページを作成してきて感じるのです。
弁護士のホームページ作成では、決まって言われることがあります。それは、相談の内容については、詳しく書けないということです。それだけでなく、弁護士の方と話していると感じるのは、弁護士の職業柄か、意識レベルが高いというべきなのか、一般的に他の業種の方に比べて、ホームページに情報を書きたがらないという傾向があるのに気が付きます。
かつて広告を全面的に禁止されていた弁護士には、解禁されたといってもさまざまな広告規制があります(「弁護士の業務広告に関する規程」 「弁護士及び弁護士法人並びに外国特別会員の業務広告に関する運用指針」)。もちろん、これらは遵守しなければなりませんし、制作者側も最低限それは理解しておかなければならないのはいうまでもありません。
ただ、それに抵触しなくても、長く広告で大衆にアピールしてきた業界内のムードがいまだ出来上がっていないせいか、利用者よりもむしろ同業者の目線を気にした情報公開に慎重な姿勢もみられます。いうまでもなく、ホームページが情報を公開するツールである以上、「情報を出したくない」と言われてしまうと、効果的なものを作るという点で、私たちはどうにも壁にぶち当たることになります。
ことSEO対策だけのことを考えても、文字情報がなければ検索エンジンは上位に表示をしてくれないため、結果としてアクセスも増えません。そもそも良いコンテンツがなければ、誰の目にも留まらないといった悪循環にも陥ってしまいます。ネット情報社会である以上、まず、弁護士の方自身ができるだけ、
情報を積極的に発信していくという気持ちと、どんな情報を利用者が必要としているのか、という発想に立って頂きたいのです。
では、弁護士は、一体どんな情報を書けばいいのか――。ここには、さまざまなとらえ方がありますが、実は最も大事だと思うのは、弁護士としての信念や考えていること表現することにあると思います。
弁護士になじみのない一般市民は、とにかくほとんど弁護士について分かっていません。力量さることながら、そもそも誰を信じていいのかも分からない、判断がつかないというのが本音です。その時に、まず、依頼する弁護士がどのような考えと、人格の持ち主なのか。これは、一般的に弁護士が考える以上に、重要な判断要素です。それを明確に伝えることが重要なのです。
とかく弁護士は実績や経歴の方を重視して伝えようとする傾向があります。ただ、これは前記規制の存在もさることなから(例えば勝訴率などは禁止)、表現と限界があることや、そもそも伝わりづらい面もあります。また、個別具体的な案件の違いで対応がかなり違ってくる弁護士の仕事では、累計して対応や成果を表示することが、依頼者の誤解につながるということは、ほかならない弁護士の方が良く分かっていることでもあります。
それに対して、人柄やマインドは、依頼者にとって、いわば弁護士との出会いの一丁目一番地になり得るものです。能力よりも、より相談しやすい方が、現実的な優先度は高い。そもそも人間的でつながれないのでは、そもそも弁護士と依頼者の協力関係は紛争解決以前に、空中分解してしまいます。
弁護士ホームページは、ここを重要視しなければなりません。その意味では、写真も大きな効果を生む材料になります。また、どのように、弁護士の人間性を伝えるのか、そのことを作成者側である私たちも、今後とも探求してい必要があると考えています。