司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

「弁護士のためのホームページ活用術」を書くにあたり、まずは弁護士のネット活用の現状について、お話ししたいと思います。このコラムでは、弁護士の方に、その業務にかかわるインターネット活用のメリットと、その方法を中心にお伝えしていきますが、まずは今、ネットとのかかわり方で、個々の一般的な弁護士が直面している問題点や、何が妨げになっているのかについて考えてみたいと思います。

 

私は、横浜でホームページ制作、WEBコンサルティングを日々行っていますが、弁護士事務所のホームページも、数多く作ってきました。弁護士の方からホームページ作成の依頼が初めて来た時、普段接したことがない弁護士と打合せすること自体が新鮮であり、どんなホームページを作った方がいいのか四苦八苦したものですが、今では弁護士と5分話せばどんなホームページを作ればいいのかが、おおよそ見当がつくようになりました。

 

そうした経験を踏まえて、インターネット・ブロードバンドが普及した2014年現在、弁護士、とりわけ一般の市民の案件を主に取り扱う「街弁」といわれる方のネット活用の現実は、概ね下記のように分類されるのではないかと思います。

 

1 インターネットを先進的に活用している層 全体のほぼ2割

ホームページ、ブログ、ポータルサイトを活用し、広告を使うことで集客を図っていることに一応成功しているか、それなりの実績を上げているタイプ。

 

2 インターネットを適度に活用している層 ほぼ4割

ホームページは持っているが、あくまで形的なものであり、更新もあまりしない。十分な活用ができていない、もしくはツールとしての期待感を持てなくなりつつあるタイプ。

 

3 インターネットを全く活用していない ほぼ4割

ホームページ、ブログも持っていなければ、パソコンもメールをたまに使う程度。そもそもパソコンにも触れず、主に事務員が対応。今後との活用という意味でも、全く想定できていない、していないタイプ。

 

総括して言えば、ネットを積極的に活用し、インターネットの恩恵を受けているのは約2割で、残りの8割はネット活用について懐疑的であったり、現実問題として、どのように使えばいいのかわからないというのが現状、ということになります。コンサルの利用に対しても、必ずしも十分な満足が得られるものになっていないようにとれます。

 

もちろん世代によっても変わり、パソコンやネットを当たり前に使いこなしている世代とそうでない世代では、当然、違います。弁護士増員で若手が量産されれば、それだけも弁護士業務でのネット活用はそれだけ普及するという見方はできますが、現状8割がネット活用で壁にぶつかっている現実は注目すべきです。

 

かつての弁護士の集客ソースは、「紹介」とされてきましたが、弁護士の増加とともに、それも変化し、いまは平均的な街弁でも、「紹介」「法律相談」「ネット」が混在している状態です。そのなかで、「紹介」と「法律相談」からの集客が頭打ち、残る「ネット」という手段の現状が前記したようなものというのが、深刻な街弁の現実ということができます(「『紹介』が減少してきた理由」)。同時に、「ネット」活用を今、突破口にできるかどうかは、弁護士業務にとって大きな課題であることも分かります。

 

次回は、ネットを活用する弁護士とそうでない弁護士の違い、それが事務所経営にどうかかわってきているのかについてお伝えしたいと思います。



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