この原稿を書いているのは、平成30年3月末です。埼玉弁護士会の執行部及び常議員の任期満了の時期でもあります。平成30年4月からの新年度は、常議員に就任することになりました。常議員に就任するのは初めてです。
常議員会は毎月1回開かれます。開始時間は平日の午後3時か午後4時、所要時間は3時間~5時間ほど。月に1回ではありますが平日午後を潰すので、負担感はそれなりにあります。もちろん、会長や副会長に比べれば負担は小さいですけどね。
数年前の私は、平日午後を潰すことになる常議員を、やろうとは思いませんでした。ですが、今は考えが変わりました。この4年間、私は常議員会の議事録を作成する「調査局」という立場で、常議員会を傍聴していました。常議員会を傍聴していると自分の考えを述べたくなることがあります。特に弁護士激増問題に関するテーマでは、色々と発言したくなります。
しかし、議事録担当の私に発言権はありません。発言できずモヤモヤした気持ちを抱えながら過ごしているうちに、いつしか常議員をやってみたいという気持ちが生まれていました。
ただし、常議員になるためにはハードルがあります。埼玉弁護士会の常議員定数は24名です。建前上は常議員に立候補するのは自由ですが、実際には調整が行われます。例えば「前執行部枠」や「支部枠」があります。確かに、前執行部枠は前年度の業務説明のために必要です。支部枠も支部の意見を反映するために必要です。しかしそれだけでなく、各種の派閥調整もあります。そのため、選挙にならないよう調整が行われていました。
確かに私も、ある程度の調整は必要だと思います。実際に、埼玉弁護士会の会長選挙では調整が行われています。私が弁護士登録した平成18年度から平成23年度まで、埼玉弁護士会では毎年のように会長選挙が行われていました。弁護士激増問題、法科大学院制度のあり方、裁判員制度の是非など、弁護士会内部での意見の対立が激しかった頃です。選挙期間中はFAXでネガティブキャンペーンの応酬が始まります。我々若手は選挙に疲れていました。
平成24年度からは、我々若手会員が団結して選挙回避を重鎮達に訴えた結果、会長選挙にならないよう調整が行われるようになりました。
しかし、いつの間にか弊害が生じてしまいました。私のように常議員に立候補したい会員がいても、派閥調整の結果、常議員を辞退しなければなりません。派閥調整の中には、調整理由に疑問を感じざるを得ない枠もあります。私は会長選挙の調整を言い出した若手の一員でもあるので、どうしたものか迷っていましたが答えは出ません。結局、私を含め数名の会員が、派閥調整を無視して常議員に立候補しました。6年ぶりの常議員選挙です。
元々立候補を予定していた常議員候補からは、「なんで常議員に立候補したのですか?選挙になってしまったので票集めが大変でしたよ」「落選した人がかわいそうだ」とお叱りを受けました。予想していた通りです。しかし私は、お叱りを受けることがわかっていても常議員に立候補しました。
そして、無事に当選しました。
立候補したこと自体は間違っているとは思いませんが、結果的には、選挙管理委員や弁護士会事務局の皆様に選挙業務の負担をかけてしまいました。この点は申し訳ないと感じるとともに、感謝しています。
いずれにしましても、ようやく常議員会で発言できる立場になりました。私の関心事は、新人弁護士の就職難と、これに伴うOJTの機会減少についてです。ベテランや中堅の中には、弁護士増員に賛成したにもかかわらず、弁護士就職難の現状に目をつむっている方が少なくないです。もちろん、私にできることも限られているので偉そうなことは言えません。できたことといえば、せいぜいイソ弁を採用したことくらいです。
新年度は常議員として、若手の声を少しでも会に反映できるよう頑張ります。