■執筆者 峯岸孝浩
登録5年で独立開業した地方会の若手弁護士が見て、感じた弁護士業や弁護士会の今をつづります。
1975年生まれ。1998年明治大学法学部卒業。2006年10月に埼玉弁護士会に弁護士登録。大倉浩法律事務所に勤務弁護士として所属。2012年1月「武蔵浦和法律事務所」を設立。埼玉速記録問題対策特別委員会委員長、埼玉子どもの権利委員会副委員長等を務める。
この原稿を書いているのは平成25年5月です。ゴールデンウイーク返上で仕事をすすめ、何とか業務を滞らせず日々を過ごしております。一息つくと、新司法試験関連の受験者数のニュースが流れていました。
今年の新司法試験本体の受験者は約7600人であり、過去最低の受験者数です。そして、今春の法科大学院の入学者総数は約2700人であり、これも過去最低の受験者数です。ピークだった平成18年の半数以下です。
私が合格した平成16年の旧司法試験の受験者数は、約4万3000人でした。新司法試験は受験回数の制限がありますので、受験者数だけで比較することはできないかもしれません。ですが、上記の受験者数や入学者数の減少は異常です。法曹志望者の数が激減していることは明らかです。
法科大学院時代の奨学金という借金、司法修習生時代は無給、そして弁護士就職難・・・・。司法試験に合格しても、借金を背負い、しかも就職すらままなりません。法曹志望者が激減するのは当たり前です。
私は平成16年に合格しました。旧司法試験のみの時代です。法科大学院を修了しなくても司法試験を受験でき、司法修習生時代は給与を頂いておりましたので、借金の問題などありませんでした。就職については、自分の希望の法律事務所に入れるかどうかが関心事であり、就職できないという発想などありませんでした。
今年の新司法試験関連の受験者数を知り、わすか数年の間に状況が毎年悪化していることを痛感しました。法曹になっても割に合いませんので、優秀な人材が他の分野に流れてしまいます。借金を抱えていてはプロボノ活動をする余裕などありません。悲しい時代です。
現在の日弁連執行部は、法曹人口問題に消極的と言わざるを得ません。日弁連は「弁護士需要の掘り起こし」などと言っていますが、需要は伸びておらず、むしろ事件数は減っています。日弁連は我々に対し、事件漁りをして国民を食い物にしろとでもいうのでしょうか。
私は、埼玉弁護士会の法曹人口問題に関する委員会に所属して活動しております。私自身が若手ですので、世間からは「法曹人口問題といっても、自分の飯の種を心配しているだけだろう」と思われるでしょう。ですが、どう思われてもかまいません。法曹志望者の激減を知り、その思いをさらに強くしました。
埼玉弁護士会として、各単位会に対し、法曹人口問題に関する協力を求めます。派閥の問題がありますので全ての単位会の協力は得られないかもしれませんが、協力してくれる単位会は多いはずです。
・・・現在の日弁連執行部に任せても、期待できませんからね。