2回目の出張相談は、別の知人の紹介でした(相談者をBさんと呼びます)。Bさんの親族が交通事故に遭いました。幸い軽傷ですが、相談をしたいとのことです。
Bさんの自宅は他県であるため遠方でしたが、仕事で都内にいく用事があるとのことでした。都内であれば、近くはありませんが私の事務所からも往復2時間程度で移動できます。今回も知人の紹介ですし、出張相談料は弁護士費用補償特約で支払われます。今回も積極的に断る理由はありません。そこで、都内の個室スペースのある喫茶店で出張相談を行いました。
しかしながら、Bさんは私を呼びつけて当たり前のような態度でした。例えるなら、店員に横柄な態度をとる我が儘な客といったところでしょうか。
知人の紹介でしたがあまりに無礼な態度が続くので、私はBさんに言いました。
「私が出張相談に応じたのは知人を通じてあなたに頼まれたからであって、私から頼み込んだわけではありません。マナーのない方の相談は受けたくないので、他をあたってください。帰ります」
私が席を立とうとしたところ、驚いたBさんは私に謝罪しました。謝罪は真摯でしたし、態度も180度改まったので、相談を続けることにしました(余談ですが、後日正式に受任することになりました。態度も丁寧です。はっきり言ったのが結果的にはよかったようです)。
この2回目の相談のときに気づきました。出張相談のデメリットです。
特に理由もないのに出張相談を行った私は、もしかしたら、仕事がなくて時間をもてあましている弁護士と思われたのかもしれません。また、Aさんの場合(前編参照)、場所も影響したと思います。Aさんの自宅というプライベートな場所でしたので必要以上に気をつかってしまい、プロとしての雰囲気が出ていなかったような気がします(そもそも私にプロの雰囲気が備わっているかどうかはわかりませんが〈笑〉)。
弁護士は依頼者を護る仕事ですが、依頼者のリクエストが無理筋であれば無理だと説得しなければなりません。依頼者の言いなりになって相手を攻撃するだけの道具に成り下がるわけにはいきません。弁護士費用を頂いてはいますが、依頼者と弁護士は対等の関係でなければならないと思っています。
偶々かもしれませんが、特に理由がないのに出張相談を行った結果、私は依頼者から軽くみられてしまったと感じています。その後の私は、出張相談のお話を頂いても、特に理由がない限りご来所をお願いしています。
弁護士業は来所を前提とする点で恵まれた仕事だと思った時期もあります。しかしながら決して殿様商売というわけではなく、依頼者と真の信頼関係を築くためには、出張相談ではなく来所していただくことが必要なのかもしれないと思うようになりました。
出張相談は正当なサービスなのか、それとも自分を安売りしているだけなのか、何が正しいのか難しいですね。