司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 
 私は、本コラムでは「最近の若手弁護士事情」というタイトル通り、最近の弁護士業界に関連した話を書いています。本コラム以外では、私の事務所のホームページ上のブログで、私自身の主に日常生活の話を書いております。

 本コラムもブログもそれぞれテーマは異なりますが、いずれも執筆の際に意識していることがあります。それは、「私のコラムやブログを事件の相手方が読む可能性があるので、内容や更新のタイミングに注意しなければならない」ということです。

 最近、被害者の被害感情が非常に激しい刑事事件を受任し、示談交渉に非常に神経を使いました。無事に事件は解決しましたが、事件解決まではブログの更新を自粛していました。示談交渉をしている最中に私が呑気にブログを更新したら、被害者の方が激怒するだろうと思ったからです。

 相手からみれば、弁護士とは「血も涙もない鬼」のように映るのかもしれません。刑事事件での示談交渉では、このことが顕著にあらわれます。被疑者や被告人の弁護人は、被害者の方からは「犯罪に及んだ悪人の味方をする許せない存在」に感じるはずです。

 被害者の方から、「いくらもらっているのか知らないが、何であんな奴を弁護するんだ」とお叱りを受けることもあります(大抵は国選事件なので、国選事件の報酬が低廉であることを言いたくなるのですが、言ったところで余計に怒られるような気がするので黙っています)。重箱の隅をつつくようなことで叱られることもあります。
 
 言い返したくなることもあるのですが、被害者の方の怒りを受け止めるのも弁護人の務めですし、そして何よりも私のせいで示談不成立になり被疑者や被告人に不利益を与えるわけにはいきませんので、ひたすら耐えます。

 それでも示談交渉を続けているうちに、弁護士が職責上関わっているにすぎず決して被害者に害を与える存在ではないこと、むしろ弁護士が入ることにより示談交渉がスムーズになるということ等の事情により、最終的には示談が成立して被害者の方に感謝されることもあります。

 示談交渉は弁護士業務の中でももっとも大変な業務と感じているのですが、良い結果を迎えることができた場合は、喜びも大きいです。

 ある被害者の方からは、示談から1~2年後に別件で依頼の申込みがありました。弁護士冥利に尽きます(別件である以上弁護士倫理上はギリギリセーフかもしれませんが、元依頼者の手前、さすがにお断りしました)。

 それにしても、示談はいまだに慣れません・・・・。被害者の方に電話をするときは、深呼吸をして気持ちを落ち着かせながら受話器をとるのですが、その手は震えています。もしかしたら、この緊張が被害者の方との交渉で良い結果につながることがあるのかもしれません。

 仕事には慣れる必要がありますが、示談交渉だけは慣れすぎない方がよいのだろうと思いつつ、今日も緊張しながら被害者の方に電話をかけます。



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