司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 独立してから、少々心苦しく思っていることがありました。弁護士会の会務活動や懇親会に参加すると、弁護士以外にも参加者がいます。司法修習生です。9年前は私も司法修習生でした。勤務弁護士時代は、司法修習生の方にお会いすると、自分の司法修習生時代を思い出し懐かしく感じていました。それが独立してからは、司法修習生の方と話をすると申し訳なく感じることが多くなりました。就職活動の話になるからです。

 

 弁護士激増の影響で、司法修習生の就職活動は非常に厳しい状況です。就職先の決まっていない司法修習生の方から、就職したいとお願いされることが少なくありません。

 

 しかしながら、私は独立してからやっと2年を経過したばかりの身です。最初は0名だった事務スタッフを2名に増員しましたので、人件費が増えています。現時点では何とか事務所を運営できていますが、弁護士激増により競争が激化している時代ですので、この先どうなるか見通しがたちません。多忙ではありますが、弁護士が私1人でも何とか業務をこなせています。

 

 そのため、しばらくの間は勤務弁護士を迎える予定はありませんでした。就職を希望してくださる司法修習生の方には大変申し訳ないのですが、丁重にお断りをしていました。仕方のないこととはいえ、断る方も辛いものです。

 

 そのようなことを繰り返しているうちに、いつの間にか、司法修習生の方と距離を置くようになってしまっていました。

 

 平成25年11月下旬、埼玉弁護士会主催の市民集会及び懇親会に参加しました。司法修習終了間際の66期司法修習生、司法修習が始まったばかりの67期司法修習生の方も参加していました。印象だけではありますが、真面目で熱心そうな方もいました。懇親会に参加した私は、就職活動の話を避けるため、司法修習生の方から離れた席でひっそりとお酒を飲んでしました。

 

 帰り際、1人の司法修習生が挨拶に来てくれました。先ほどお見かけした真面目で熱心そうな司法修習生です。66期の方でした。まもなく修習が終了するものの、就職先が決まっていないとのことです。

 

 この司法修習生は、東京の事務所で内定が決まっていたものの、ボス弁が体調不良により急遽引退してしまったため、内定取り消しになってしまったとのことです。今から就職活動をしても、約3週間後に司法修習が終了します。その司法修習生は困り果てていました。

 

 気づくと私は、「うちはあまり良い待遇でお迎えすることはできませんが、いいですか?」と答えていました。2日後に面接を行い,内定を出しました。ノキ弁ではなく、勤務弁護士として迎えます。その司法修習生は、私があっさり内定をだしたので驚いていました。

 

 ・・・・驚いたのは、私自身です。つい勢いでOKしてしまいました。確かに弁護士1人でも何とか業務をこなせると思う一方で、そろそろ弁護士1人では限界かもしれないとも感じていました。真面目で素直そうな方でしたので、師匠が私を育ててくれたように、私もこの人を育てたいと思いました。

 

 弁護士激増の厳しい時代に、人件費がかかる勤務弁護士を迎えることに迷いがないと言ったら嘘になります。が、もう決めたことです。

 

 弁護士就職難のこの時代に、ほんの少しだけ貢献することができました。今、その司法修習生は、弁護士登録をして弊所で活躍してくれています。



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