司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 今年初めて、司法修習生の指導担当になりました。私の弁護修習担当は第4クール。まさに今、司法修習生の指導をしています。指導担当になったため、例年よりも司法修習生に接する機会が多くなりました。そうすると必然的に、就職希望の話も多くなります。

 

 ただでさえ弁護士激増の影響で就職難のうえに、弊所の場合は今年の3月で勤務弁護士が独立しました。勤務弁護士の席が空きましたので、就職希望や斡旋を受けることが非常に多いです。

 

 しかしながら、弊所はまだまだ発展途上の事務所ですので、弁護士1名(私)と事務員1名で足りる規模です。休憩のためしばらくの間は勤務弁護士を採用する予定はありません。就職希望の司法修習生の方には本当に申し訳ないのですが、丁重にお断りしています。

 

 それでも就職希望の話が出ると、「待遇はどうしようか」と反射的に考えてしまいます。勤務弁護士の待遇は、ますます悪化しているように感じます。数年前に比べると、給料300万円台という待遇が多くなってきたように感じます。

 

 その反動で影響が出ているものがあります。事務員の需要です。事務員を正規雇用する場合、人件費と社会保険料で、1年目の事務員でも300万円台、経験者なら400万円台になってもおかしくありません。事務所によってはベテラン事務員の給料が500万円以上という話も聞きます。そして事務員は、勤務時間は決まっていますし、土日祝日は休日です(ただし土曜日は、半日出勤や交代制ということもあります)。

 

 これに対し、勤務弁護士はというと・・・・。通常のサラリーマンと違って勤務弁護士は個人事件ができるという事情もありますが、勤務時間が事務員以下のはずはありませんし、土日祝日をフルに休めることも少ないはずです。

 

 対応できる業務は、当然ながら事務員よりも、法曹である弁護士の方が圧倒的に多いです。例えば、期日の出席、接見、訴状や準備書面の作成、相手方との交渉など、弁護士にしかできない業務は非常に多いです。反対に、事務員にできて弁護士にできない業務はありません(もちろん事務作業は事務員の方が慣れているでしょうけどね)。

 

 そして先ほど述べた通り、給料300万円台で勤務弁護士を迎えることができてしまう時代です。

 

 勤務弁護士の待遇が悪化したことによって、事務員の需要が薄れてきていると言わざるを得ません。実際に、弁護士は数名いるものの事務員は0名か1名程度という事務所が増えてきているように感じます。弁護士自身が事務を行っているということですね。

 

 勤務弁護士だけでなく事務員の雇用も促進したいところですが、弁護士激増という大きな時代の流れに立ち向かうのは本当に難しいです。

 

 さて弊所はというと、事務員よりも勤務弁護士の方が経営的には効率がよいかもしれませんが、私自身は弁護士業務に専念したいです。だからといって勤務弁護士に本来のOJTをしないまま事務作業ばかりをお願いするわけにはいきませんので、事務員1名を雇用して事務作業をお願いしています。

 

 現在の弊所の事務員は、弁護士業界は初めてですが社会経験豊富ですので、一般事務については即戦力です。法律事務については未経験ですが、すぐに覚えてくれるので、非常に助かっています。弁護士は私1名ですので忙しいといえば忙しいのですが、今よりも昔の勤務弁護士時代の方が忙しかったので,まだまだ余力はあります。

 

 時代の流れに立ち向かうのは大変ですが、事務員を雇用しつつ、近い将来もう一度勤務弁護士を迎えられるよう、頑張って経営体力をつけたいです。



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