司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 「電話がつながらなくても、伝言を残せば折り返し電話はかかってきますよね?」
 「メールをしても、返信してくれない人っているのですか?」

 

 弊所の勤務弁護士の言葉です。率直で素直な感想です。この言葉が出る以上、弊所の勤務弁護士は「連絡があったら返事をしなければならない」という当たり前の感覚をもっているようなので、安心しました。ですが、電話やメールを送っても返事がなく、手紙を送ってもなしのつぶてということは、少なくありません。事件の相手方本人から連絡がないのは、予想の範囲内です。

 

 しかし、依頼者から返事をもらえないと業務が進まないので困ってしまいます。細かいことで「早く早く」と急かされるよりはいいのですが、何事にも限度があります。人によっては、数か月連絡がとれないこともあります。ここまで連絡がとれないと辞任を検討しなければなりません。

 

 最近続いたトラブルは、依頼者とのメールのやりとりです。私は受任時に、依頼者にテストメールを送って受信確認をしています。依頼者が受信拒否設定をしていることにより、私からのメールを受信できないことがあるからです。

 

 しかし受信確認できても、依頼者がメールを開かないケースもあります。メールだけでなく電話もすればより確実ではありますが、さすがに毎回毎回メールも電話もするというわけにはいきません。先日も、弊所から依頼者にメールを送ったにもかかわらず、依頼者がメールに気づいていないということがありました。半月ほどたって依頼者から「なんで連絡をくれないのですか」とクレームがありました。

 

 そして冒頭の勤務弁護士の言葉につながります。勤務弁護士にとって良い経験になったと思います。

 

 相手方代理人弁護士の場合、戦略であえて返事をしないというケースだったら理解できます。しかし,単純な事務連絡でさえ返事をもらえないことは少なくありません。

 

 LAC(弁護士保険)において、保険会社から弁護士会に「事件の進捗状況をしたいが、担当弁護士となかなか連絡がとれない」というクレームが多いと聞きます。私自身、保険会社の担当者に折り返しの電話をするだけで、「先生は返事をしてくださるので助かります」と妙な褒め方をされた経験があります。見方を変えると、弁護士とは返事をするだけで評価されるありがたい業界といえるのかもしれません。

 

 と、まるで他人事のように書いておりますが、多忙を極めると返事を失念してしまうことがあります。私がやってしまうパターンは・・・。

 

 メールを開く
 ↓
 返事をしようとしたところ電話がくる。
 ↓
 電話が終わった直後にまた別の電話がくる(電話のラッシュ)。
 ↓
 あっという間に期日の時間が迫ってくる。大慌てで外出。
 ↓
 外出から戻ると、新たなメールや電話が何件もあるので、返信。
 ↓
 外出前に開いたメールの返信を失念。

 

 返信を失念していたことに気づくと、申し訳ない気持ちでいっぱいになります。平謝りです。というわけで、自戒の念を込めて今回のコラムを書いております。気をつけますね・・・。



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