最終合格率(対受験者数)
平成24年 68.2%
平成25年 71.9%
上記合格率は、予備試験組の司法試験最終合格率です。その合格率は約7割と非常に高く、他の法科大学院を抑え合格率1位に君臨しています。
予備試験の受験者も急増し、平成26年の受験者数は10347人とのことです。これに対し、法科大学院入学者数は2272人であり、定員割れを起こしてしまっています。予備試験の方が,法科大学院よりも注目されていることは明らかです。
予備試験に合格すれば法科大学院に通う必要はありません。法科大学院の多額の学費は不要、最低2年間の法科大学院在籍期間も不要です。費用及び時間ともにメリットがあります。
予備試験の難易度は高いですが、その難関な試験を突破したという予備試験組ブランドは、就職でも有利になるはずです。
また、少なくとも対司法試験という意味では、法科大学院の存在価値そのものが危うくなっています。予備試験組が司法試験予備校を使うのは当然ですが、法科大学院の学生も司法試験予備校を利用するというダブルスクールが一般的になっています。予備試験組の司法試験最終合格率が法科大学院組のそれよりも高いということは、法科大学院に通わなくても、司法試験予備校を利用すれば司法試験に合格できるということを如実に示しています。
この予備試験を「抜け道」と呼び受験資格制限をもうけようという動きがあります。しかしながら、私は反対です。定員割れを起こしている法科大学院にとって予備試験は都合の悪い存在かもしれませんが、司法試験受験生が望む制度であれば残すべきです。法科大学院の学費の負担は非常に大きいですが、予備試験組の合格率の高さに鑑みれば、その学費の高さに見合うものがあるとは言いにくい状況です。
先日、司法試験を目指しているある社会人の方にお会いしました。その方は予備試験一本に絞るか、それとも法科大学院に入学し予備試験も並行して受験するか、迷っていました。
私は予備試験一本に絞ることをすすめました。法科大学院の学費の負担は非常に大きいです。しかも,弁護士業界は就職難ですので、合格後も苦労する可能性が高いです。法科大学院に通うには仕事を辞めなければならないでしょうから、ハイリスクローリターンと言わざるを得ません。
予備試験であれば、難易度は高いですが、仕事を辞める必要もなければ法科大学院の学費を支払う必要もありません。予備校代は必要でしょうが、これは法科大学院に通っていても必要でしょうから、負担は代わりません。
その社会人の方は、ニュースなどで現在の弁護士業界が厳しい状況であることは知ってはいるようでしたが、私の率直な意見を聴いて、改めて驚いていました。実際に苦労している新人弁護士の話を聴いたら、さらに衝撃を受けたことでしょう。
就職難や借金(奨学金や貸与制)の問題がなかった新人の頃の私であれば、弁護士のやり甲斐を語っていたでしょう。しかしながら、今の私は違います。その社会人の方と話をすることにより、弁護士がどんなリスクを背負ってでもやるべき魅力のある仕事とは言えなくなってしまったことを、また感じてしまいました。
多額の借金を背負って弁護士になったにもかかわらず、就職すらままならない業界です。そのような仕事を、人に積極的にすすめることはできません。予備試験が新司法試験システムの唯一の救いですので、予備試験の受験資格制限に断固反対します。