司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 先日、弁護士会の倫理研修を受けました。初年度、満5年のときに続き、今回は満10年での研修です(今は満3年もあるようですね)。

 

 倫理研修は受講が義務づけられています。不参加は許されません。しかし、正直なところ、受講前は少々億劫に感じていました。倫理研修は土曜日の午後なので時間は確保しやすいですが、どうせ土曜の午後を潰すなら事務所で起案をしていたかった・・・、いや家でゆっくり休みたい・・・、と受講前は思っていました。

 

 講義は2時間でした。前半1時間は、弁護士職務基本規程の条文を通読しました。利益相反にならないか等の確認で弁護士職務基本規程を断片的に読むことはありましたが、思えば条文を通読したことはありません。他のほとんどの受講者も同じだったようです。改めて条文を確認すると、恥ずかしながら意識が薄い部分もありましたので、良い勉強になりました。

 

 後半1時間は、直近1年間の懲戒事例を確認しました。懲戒事例とは、毎月事務所に届く「自由と正義」の後ろの方に掲載されているものです。「自由と正義」が届いても全てに目を通すわけではありませんが、懲戒事例だけは読んでいます(弁護士の皆さんも同じではないでしょうか)。様々な懲戒事例に目を通していると、必然的に懲戒相当行為がどのようなものか身につくような気がします。私も業務をしていると、「あれ?この話はまずいのではないか?」と直感的に不安を覚え、調べてみると確かに弁護士法に抵触しうるようなケースがあります。

 

 たとえば、「報酬分配の制限」です(弁護士職務基本規定第12条)。他士業との協働によるワンストップ・サービスの提供において、報酬の分配に合理的な分配基準が工夫されなければ、「正当な理由」があるとはいえず同条に抵触する恐れがあります。

 

 思えば私が他士業の方と業務を行う場合、私は私で独立して依頼者と契約し、他士業の方も私とは別に依頼者と契約します。報酬を分配することはありませんので問題ないはずです。しかし、なぜ別途契約をするようにしているかというと・・・「何となくそうすべきだと思ったから。言いかえると、他士業の方と一緒に契約すると報酬をどう取り決めたらいいか記載しにくいし、それに何よりまずい気がする」という直感的なものです。上記弁護士職務基本規定12条のことは意識していませんでした。このような感覚は,自由と正義や先輩弁護士の教えのお陰で、いつの間にか身についたものだと思います。

 

 倫理研修の2時間は、あっという間に過ぎました。当初は受講が億劫だったのですが、やはり倫理研修は必要ですね。年数が経つといつの間にか鈍感になってしまうので、身を引き締めるのに良いタイミングでした。

 

 倫理研修で印象的だったのは、講師の方が「何かあったら、1人で抱え込まずに知り合いの弁護士に相談してください」、「会務活動をすれば,先輩弁護士と知り合う機会を作れます」と仰っていたことです。会務活動への参加を促す内容も含まれていますが、確かにその通りだと思いました。

 

 会務活動で全く見かけない弁護士が、気がついたら登録抹消していたということが時々あります。実際に懲戒処分までは受けていなくても、色々とあったのかもしれません。

 

 会務活動はプロボノですので大変ではありますが、多くの弁護士と出会える良い機会であることは間違いありません。多くの弁護士と知り合うことにより、間接的にではありますがトラブルの予防につながるのかもしれません。・・・いや、こんなことを書くと「もっともっと会務活動に協力して」とお誘いが来そうですので、ここまでにしておきます(苦笑)。



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