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 本年より勤務弁護士を迎えました。採用にあたり非常に悩んだことがあります。給与・個人事件の可否など、勤務弁護士の待遇です。弁護士激増の影響により、新人弁護士の待遇は悪化しています。私自身がボス弁になり給与を支払う立場になってしまったため非常にデリケートなテーマですが(笑)、今回は勤務弁護士の待遇について触れたいと思います。

 

 なお、以下の内容は「新人勤務弁護士(ただしマチ弁)」に絞ったものであり、企業法務、ノキ弁、即独については対象外です。また,データ収集をして厳密に分析したわけではなく、私個人の体験・体感にすぎませんのでご容赦ください。

 

 内容は、①「平均給与」②「個人事件の可否」③「個人事件の負担割合」です。「弁護士会費の負担の有無」は条件から外しています。マチ弁の場合、どちらかというと、弁護士会費は勤務弁護士負担というケースが多いように感じます。そして、今も昔も、「弁護士会費の負担の有無」については、それほど状況は変わっていないと思います。給与・個人事件の可否などの点で、差が出ているのでしょうね。

 

 

 <59期(平成18年10月登録の時代>

 まず、私の新人時代である59期について述べます。旧試験のみだった最後の期であり、まだ就職に困らなかった時代です。

 

 ① 平均給与:600万円前後

 給与400万円台という話はほとんど聞きませんでした。400万円だと、就職を希望する弁護士はほとんどいなかったでしょう。「700万円」なら好待遇です。「500万円台」だとやや低めという印象ですが、スタートが低い反面、毎年数十万円レベルで昇給するところもあり、最終的には好待遇になることもあります。

 

 ② 個人事件:多くの事務所が「可」

 個人事件禁止という事務所はごく稀だったと思います。

 

 ③ 個人事件の負担割合:2~3割

 負担金なしという事務所もあり、条件は様々です。原則として負担金が発生するものの、国選事件は負担金なしという場合もあります。負担割合が5割だと「負担が大きい」と感じる時代でした。

 

 <66期(平成25年12月登録)>

 さて、就職難の時代である新人66期はというと・・・・。

 

 ① 平均給与:400万円台

 500万円だと「好待遇」という印象です。300万円台だとやや低めかもしれませんが、就職難の時代ですので、募集をかけたら就職希望者が殺到すると思います。

 

 ② 個人事件:「可」の事務所がまだまだ多いが、「不可」の割合も増加

 仮に「可」でも、「最初の1~2年は個人事件不可」というケースも増えてきたようです。

 

 ③ 個人事件の負担割合:4~5割という事務所も珍しくない

 全体として負担割合は大きくなっているように思います。仮に個人事件「可」でも、最初の1年は10割負担というケースもあります。売上げの10割を事務所に納めたら全く手元に残らないのですが、仕事を覚えるためには仕方ないのでしょうね。

 

 以上です。私の体験・体感ではありますが、こんなところでしょうか。そうすると、「給与年500万円、弁護士会費は事務所負担、個人事件『可』、負担割合2~3割」という条件は、66期時代では好待遇になります。しかしながら、59期時代であれば「やや低め」です。時代が変わったことを実感します。それでも、現状では勤務弁護士として就職できただけでも好条件なのかもしれません。ノキ弁、即独の方が大変なはずだからです。

 

 さて、他人事のように書くのも無責任ですので、私自身はどうしているのかというと・・・。勤務弁護士のプライバシー情報にもなりますので曖昧にさせていただきますが、給与については59期時代の平均値600万円とはいきませんが、66期時代の平均以下ということもありません。個人事件可・負担割合2割です。弁護士会費は勤務弁護士負担です。

 

 就職難の時代ですので「月給20万円(=年240万円)」でも採用できたでしょうが、就職難の弱みにつけ込んで弁護士を買いたたくような真似はしたくありませんでした。それに、月給20万円だと、徐々に不満を感じて退所してしまうでしょう。

 

 弁護士激増により、勤務弁護士の待遇は悪化しています。同時に、弁護士の経営状況も悪化しています。数年後の自分は、勤務弁護士の給料を支払えているだろうかと、つい考えてしまいます。



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