司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

■執筆者 勝瑞豊
司法書士界の論客として知られる筆者が、特異な「日本司法」と、そこにいる人間たちの生態を探ります。
1944年7月13日生まれ。1988年司法書士登録(東京司法書士会)。2003年認定司法書士。東京司法書士会理事、同会綱紀委員などを歴任。現在、同会法律相談員を務める。著書に「『超』済出発–自己破産免責完全ガイド」(東林出版社)など。

 今、債務整理の業界は、過払い金というパイをめぐって最後の熾烈な依頼人獲得合戦が行われている。それも少数の大手法律事務所、司法書士法人間での合戦となっている。個人事務所はすでに市場から追い払われてしまった。

 予想されていたことだが新しい問題が生じて来ている。朝日新聞3月24日日曜日朝刊、社会面トップに「過払い返還 密約で減額 消費者金融と法律事務所 債務者知らぬ間に」という4段の大見出しでそのことが報道された。密約の内容は債務者への過払い金返還額を、消費者金融業者と法律事務所、司法書士事務所が協定を結んで大幅に減額するというもの。

 ようするに、消費者の無知につけこんで消費者金融は大幅減額で利益を得、法律事務所などは資金回収を早くして利益を得るという消費者を犠牲にした談合だ。過払い金の存在については法律事務所、司法書士事務所の大宣伝で消費者も周知だが、その実体は、全く理解されていない。

 そのため資格者代理人から「交渉の結果、取り戻せるのはこれだけ」と言われれば、債務者はその結果をうのみにするしかない。そこに消費者を犠牲にした談合が生じる土壌があるわけである。その秘密協定には、20ほどの有名法律事務所、司法書士事務所の名前が記載されていたという。消費者の理解困難を責めるわけには行かない。この社会面半ページを費やした大記事も、何度読んでみても、多分この記事指摘の内容は素人には分らないだろう。業者からの協定、陳情の申込は私の事務所にもある。

 「市場の失敗」を経済学ではレモン市場と呼ぶ。中古自動車の販売では一般ユーザーは知識不足で販売業者のいいなりとならざるを得ない。スッパイ不完全競争の市場なのでレモン市場と言う。とうとう社会問題となってきたかと思っていると、アコムから質問状なるものが送られて来た。それに対する私の返事を公開する。 
  
 アコム株式会社殿

平成25年4月23日付質問書への回答

                   認定司法書士 勝瑞 豊

 貴殿の質問に対するお答えの前に、最近の消費者金融事件について、私の認識を述べさせて頂きます。

 御社の場合 適法金利が年利18%にも関わらず
 昭和63年 年利27.6%
 昭和61年 年利36.5%
 平成3年  年利27.375%
 平成8年  年利24.820%
 平成13年 年利26.6%
 平成14年 年利26.5%
 平成20年11月から以後、平成21年、22年、23年は、適法金利の年利18%となっている。

 従って、4年前以前の借入については、すなわち平成20年11月以前に借入している分については、利息が過払いとなっている可能性が高い。

 1 そうすると御社と取引のある債務者で、4年前以前の取引のある方は、余分の利息を支払っていることになる。

 2  従って、4年前以前に完済した借入金については、過払い金が必ず発生していることになり、最後の弁済期から10年(請求の消滅時効)を過ぎていないものについては、過払い利息金を何時でも請求できるし、法秩序的にも道徳的にも債務者は「不当」利得金の返還請求をしなくてはならない。



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