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 〈改正「貸金業法19条の2」の活用〉

 4 返済し続ける債務者救済の唯一完全な手段

     

 貸金業法19条の2

 「債務者又は債務者等であった者その他内閣府令で定める者は、貸金業者に対し、内閣府令で定めるところにより、前条の帳簿(利害関係がある部分に限る。)の閲覧又は謄写を請求することができる。この場合において、貸金業者は、当該請求が当該請求を行った者の権利の行使に関する調査を目的とするものでないことが明らかであるときを除き、当該請求を拒むことができない」

(この請求を拒否した者は、法49条6号により罰金百万円を課せられるほか、貸金業者登録の取り消しの対象ともなる)

 改正貸金業法の目的は、高利金融利用者1400万人、多重債務者230万人(平成18年2006年当時)と言われた、消費者金融列島を正常な姿にする事でした。この異常事態を生じさせたのは、高金利による債務の多重化とその結果としての自己破産の増大にあったので、金利を規制した上で、過剰な貸付を規制するために様々な手段が採られたのです。

 いわゆる「指定信用情報機関」によるブラックの取り扱い強化もそのうちの一つですが、これに対しては、債務者側(消費者金融の利用者)にも借り過ぎせずに済むような方法を提供しなければなりません。計画的に返済をするためには、借り入れした人が自分自身の借り入れ状況をしっかりと知っておく必要があるのです。

 そのために、改正「貸金業法」には19条2という「債務者の情報受領権」が規定されました。

 「改正貸金業法とこれからのクレサラ相談窓口の在り方を考える」(全国クレジット・サラ金問題対策協議会 平成19年 2009年9月 5P)という本の中で木村裕二弁護士は「取引履歴開示の問題に関しては、長年にわたり超過利息を支払ってきた既存顧客との関係ではもちろん、今後も上限金利引き下げまで3年間の経過期間は超過利息にしがみつく営業方針を捨てない貸金業者が多いので、新規顧客との関係でも、利息制限法に引きなおして債務を確定したり、過払い請求をするということが確実に行われるよう、取引履歴をきちんと開示させなければならない。そのための手段として帳簿書類の閲覧請求権を法定した。これまで最高裁判決によって信義則上の義務と位置付けられてきたが、業法の中で明確な条文を置いたという意義がある」と述べています。

 また、同書中では、この債務者の情報受領権に着眼して「愛知かきつばたの会」の事務局長の水谷英二氏は次のように述べています。

 「被害者の会は、基本的には自助グループですので、今回金利引き下げの法改正を受けて、無効な利息を返還させることについても、本人自らが・・取引履歴を取り寄せて過払金を返還請求するという活動を行っています。具体的には第1に取引履歴を自分が業者に連絡をして取り寄せることです。第2に、取り寄せた取引履歴を、パソコンを使ってエクセルソフトを利用して自分で計算する、ということを会の活動の中で行っています。」(「改正貸金業法とこれからのクレサラ相談窓口の在り方を考える」49P)。

 さらに「松山たちばなの会」の青野貴美子さんは「うちも皆さん自分で取引履歴をとっていただいて計算をして、債務額の確定ともう一つは家計簿をつけて頂いて、・・・どうすればいいんですかというようなことを自分で把握していただいて、債務解決の方法を自分で選択していくという風なことをしていただくように努力をしています」(同書51P)と述べています。

 全国クレジット・サラ金問題対策協議会の実務研究会がこの書を出版したのが平成19年のことで、改正法が施行されたばかりの頃の実務者による座談会での発言でしたが、この当時は、「まず業者から取引履歴を取り寄せ、利息制限法に引きなおし計算をして、正しい債務を確定した上で、債務整理の方針を決定するという正しい手続き」が市民団体の中で行われていたということです。

 資格者による過払金請求バブルが起こるのはこのあとのことですが、資格者が介入することによっていつの間にか、債務確定の手続きを省き、いきなり委任状取得、業者への介入通知という手続きが恒常化し、信用情報登録による債務者の不利益を省みない過払金請求手続きが当たり前のこととなってしまったのです。座談会ではこんな発言もありました。

 「これだけ新聞テレビで書かれていても、はらわなくてもいいという利息がある、過払い金の返還だとかいうことも知らないで、苦しんでいる人が本当に多い。このことを今、全国で東と西でキャラバンカーが動いていますが、払わなくていい利息があることを本当に知ってもらう、そして過払い金返還請求をする、そして各都道府県1800余りの市町村で相談窓口がある」(同書56P)、と司法書士が貸金業法改正時の熱気を語っています。





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