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 〈利用者国民の自己債務情報へのアクセスを遠ざける〉

 (以下、上告理由書引用の続き)

 第10 憲法解釈、最高裁判所判決の解釈の誤り 
  

1 一審判決の誤り 憲法違反

 (1)一審判決 20ページ 「ウ 残高調査業務のみを対象とする広告活動の可否」において、上告人の残高調査業務が、司法書士法3条1項4号の相談業務(5号)には当たらないし 1項7号の相談業務にもあたらないから、3条業務に含まれない残高調査業務のみの広告も、残高調査業務の勧誘宣伝も出来ない」という。

 上告人の、債務処理の前段として行う「残高調査業務」について、認定司法書士制度を厳格に解釈することによって、その結果、債務処理の前段の業務としての「残高調査業務」を禁止し、その広告宣伝までを禁止することになることが、消費者の利用しやすさ、司法へのアクセスのし易さを目的としている認定司法書士の制度趣旨からみて、そのような一審裁判官の解釈は合理的であると言えるのだろうか。

 「紛争の目的の価額(請求額)が140万円以内かどうか判然としない民事紛争について、とりあえず相談に応ずることは出来る」(注釈 司法書士法 119ページ)と立法者はしているのであるが、この問題について上告人は控訴状の16ページで論じている。立法者は、続けてその価額が140万円を超えることが判明すれば、その段階で、法3条1項5号の相談に移行して訴状作成、訴状等書類作成業務に移行することもできると述べている(控訴状16ページ)。司法書士制度の目的、第1条の司法書士の使命は、国民の権利を擁護し、もって自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とすることで、加えて認定司法書士制度は、国民消費者に日本の司法制度をより身近に利用出来るようにすることにあるが、むしろ一審裁判官の解釈は、司法書士を国民から遠ざけているように感じられる。

 平成28年6月27日の最高裁第1小法廷判決、和歌山訴訟の判決は、認定司法書士が債務処理を進めるにあたっては、認定司法書士は、その代理権の範囲が、個別債権についての請求金額が140万円内であることを客観的に明らかにするべきだという判決の考え方を示した。そのことについては、原審での準備書面(1)3ページ以下で論じたが、立法者見解とも異なる、原審裁判官のように厳格な司法書士法の解釈を採用すれば、利用者国民の自己の債務についての情報へのアクセスを遠ざけてしまうことになる。

 したがって、認定司法書士制度の制度趣旨と国民利用者の便宜から考えれば、立法者見解のように弾力的に、国民の利益の立場から解釈すべきである。最高裁平成17年7月19日第3小法廷判決を受けて成立した貸金業法19条2の国民、債務者の権利行使の機会を遠ざけるような一審の判断、解釈は誤っている。平成28年6月27日の最高裁第1小法廷判決、和歌山訴訟と最高裁平成17年7月19日第3小法廷判決(取引履歴開示義務判決)の、二つの最高裁判決の趣旨とも異なる司法書士法3条1項5号、7号の一審判決の解釈は誤りであり、その判決は、上告人の表現の自由及び国民の知る権利 憲法21条1項を侵害している。
 

 また、司法書士法の解釈とは別に、債務者の借入金残高を債務者の依頼により債務者を代理して取引履歴を消費者金融業者から取り寄せ、再計算事務を実行して訴額に当たる金額を、債務者に通知したこと。そのような業務が仮に司法書士法3条の業務に含まれないからといって、その業務自体の内容、金融庁見解では普通人でも代理できる内容の業務を、独立に、又は3条業務の付帯事務、補助事務として実行しても、それは単なる事務の代理であって、普通人にもできる正常業務なのであるから、弁護士法72条違反にはならない。そうすると、3条一項6号イ 7号、5号に該当しないから、司法書士は、残高の調査や再計算の事務は行ってはならないし広告もしてはならないとした一審の判決は、憲法22条1項 業務の自由 憲法21条1項に違反する。独占禁止法第8条4にも違反する。

 (2)一審判決は、上告人の勧誘行為が「司法書士の品位または信用を損なうおそれのある広告」(被告広告規範規則3条6号)にあたることが一義的に明らかではないから無効であるという主張に対して、判決24ページにおいて、その勧誘行為が「司法書士の品位または信用を損なうおそれのある広告」(被告広告規範規則3条6号)にあたることを理由づけるために、司法書士の業務広告に関する運用指針(平成25年3月21日、22日に日司連理事会制定 乙6)において、屋内又は屋外で広告物の配布について、司法書士等の品位又は信用を損なうおそれがある広告態様の例として、サラ金会社のATMから出てきた人に対し、「過払い金請求しませんか?」というチラシを配布することが挙げられていることも、上記の判断と符合するものと言うべきである。そうすると、原告の行為が司法書士の品位を損なうかどうかが一義的に明らかではないとする原告の主張は理由がない」と判示している。

 しかしこの判断は重大な誤りを犯している。まず本上告理由書7ページで述べたように「被上告人の平成27年2月4日付調査内容通知書(甲12号証)の6ページの報告(d)2010年~2013年における上告人過払件数、7ページのアイフル社作成の表にあるように、上告人の広告行為時、2010年 平成22年の当時には、その注意勧告の根拠となる司法書士の広告を規制する規定は、東京司法書士会会則101条『会員は、虚偽もしくは誇大な広告又は品位を欠く広告をしてはならない』という規定と、それを根拠とする東京司法書士会総会決議で制定した広告に関する規範規則第3条6号『司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告』しか無かった」ことは甲12号証で明らかなのであり、むしろ、上告人行為後の3年後、平成25年3月21日、22日に日司連理事会が制定とあるのは、上告人の広告を知ってから急ぎ作成したものと思われる。この判決の判断は、いわゆる事後法を、本件に当てはめたものであり明確な憲法39条違反である。

 本上告理由書12ページ以下で述べたが、まさに、かくして、あらゆる立法について言えることであるが(憲法31条)、「法務大臣認可の会則含む法令においては、その規制文言は、明確、具体的、厳格に明記されていなければならない。そうしないと、強制会である司法書士会会員に対する人権侵害が、強制会執行部の恣意的な会則の解釈、規則の適用、運用によって、容易に起こりうることになる。」その具体的な事例である。一部執行部の決議で、先行する抽象的規範を根拠として事後法を作り、それを過去に適法であった行為に対して、違法であると注意勧告をするのである。

 上告人は、判示の根拠となっている理事会制定の司法書士の業務広告に関する運用指針については、一審訴状22ページで、この「広告運用指針は、被告の執行部である理事会が制定した、自らの運用指針に過ぎないし(甲36)」会員の同意、賛成を得ているわけでもないし周知もされていない。「また、広告運用指針は、本件注意勧告に係る勧誘行為がなされた当時には制定されておらずその後に制定されたものである。このように、事後的に制定された下位規範に過ぎない広告運用指針の規定によって、上位規範である会則が規定する内容を判断するということは、会則の解釈方法としては到底、採ることができない」と述べ、一審原告準備書面(2)の8ページでも「広告運用指針が、被告の執行部が制定した自らの運用指針に過ぎず、さらに、本件注意勧告に係る勧誘行為がなされた後に制定されたものであることは、訴状において主張したとおりである」とも述べており、それを無視して憲法38条に違反して、原審判決が、「司法書士の品位または信用を損なうおそれのある広告」(被告広告規範規則3条6号)違反の根拠、理由として、広告運用指針を事後法と承知で何故採用したのか理解しかねる。

  なお、運用指針では「過払い金請求しませんか?」というチラシを配布することであるが、上告人が配布したチラシは、「無料残高調査」勧誘のチラシであって、「過払い金請求しませんか?」というチラシではない。



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