これまでのクレサラ訴訟についてみれば以下のとおりとなる。
1 一連計算の可否をめぐる論点
2 契約の個数が問題となる場合
3 取引の連続性が問題となる場合
4 過払い金返還請求権の消滅時効の起算点
5 みなし弁済規定の要件論
6 悪意の受益者論
7 期限の利益喪失約款
8 取引履歴の開示義務
9 文書提出命令の問題点
10 被告と原告の立証責任の問題点
11 冒頭ゼロ計算と推計計算
12 裁判上での和解
13 リボ払い方式の場合の17条書面問題
14 相殺
15 以前にした和解、調停、17条決定による清算条項等の効力
大体、以上のような論点がこの20年間、訴訟上の争いとなって来た。しかし、今日では基本的にはどの論点についても最高裁判決は出揃っているので、最近、訴訟が多くなったといっても、法廷ではすでに解決済みの論点をぶつけあうというのが過払い金訴訟の実態である。
消費者金融業者はもっぱら訴訟を回避し、力関係で優位に立てる裁判外での和解を債務者に求める一方、弁論能力のない弁護士や司法書士であると見れば、訴訟前での低額和解で強引に終わらそうとする。
以上のような紛争の現実を見れば、債務者は、まず専門家に債務整理を依頼する前に、債務者自身が、いくら減額出来るのか、いくら過払い金の回収が可能なのか、自己の債務残高を債務者自身が正しく知っておく必要がある。
以上の認識をベースとして、御社ご質問の資料1、3、4、5を、実行しているわけである。
事実行為である取引履歴取寄せについては、貸金業法上の本人の情報請求権を根拠とし、資料4の2枚目の嘱託書にあるように、本人の嘱託を受けた上で当事務所で取り寄せを代行している。これは司法書士法上の3条業務には含まれないし弁護士法にも抵触しない。負い目意識を持つ債務者という立場では、法的に保障された権利であるにも関わらずその権利は事実上行使しがたい。
よって当職は、そのような債務者心情を考慮し、国民の依頼を受けて履歴取り寄せを代行しているのである。
さて、質問への回答をいたします。
1については、名刺記載のとおり、○○氏は当事務所の営業担当の社員であり、当職の指揮命令監督下にあります。
なおご存知のとおり、10年以上前に司法書士会も弁護士会も公正取引委員会から、独占禁止法上の8条団体に該当するとして勧告を受け、広告すなわち営業を自由化し価格競争も自由化しました。当職の営業活動及び広告宣伝につきましては、憲法21条、22条、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(独占禁止法)の観点から考察されるべきであると考えます。
従って、御社に対し2の説明義務は、法的にはないと考えます。司法書士も競争原理のもとにある以上、業務上の秘密、営業上の秘密保持は、法上の権利として認められているからです。