司法書士会員専用情報交換ネット「NSR」で、16年7月19日「司法書士制度研究会第一回」勉強会開催のお知らせというのが掲載されていた。「お知らせ」によれば、この主催者である「司法書士制度問題研究会」の会長は、利根川徳吉氏で私とは周知の東京会会員である。このスレッドを立てた川村兼司氏も同様。
勉強会は「司法書士会館 9回ラウンジ」で、司法書士会会員であれば参加自由であるが定員は20名程度ということであった。司法書士会館9階ラウンジとは、来賓とか会役員用の豪勢なラウンジである。この会合に、どんな人たちが来ていたのか興味深いところだが、私は参加しなかったので人によってはがっかりだったろう。ほっとしたかも知れない。
会合ではあまり難しい問題、強制入会制度とか懲戒制度とか、資格試験制度の在り方とか、法務局と司法書士という名の人民との関係とか、制度の骨格に関わるような質問は出なかったようで、話題は、もっぱら最近の司法書士資格者の貧困化と社会的評価の低下が問題になったようである。
1 その質問には「法定相続情報証明制度」という法務局考案の新システムが、その導入により、他業種に相続関連業務が解放されるのではないかというものがあったということであるが、相続関連業務が司法書士の独占業務などということは聞いたこともない。これは業務独占にしか依存できなくなった司法書士の哀れな叫びに聞こえる。
2 次に、「司法書士制度に魅力がなくなったために司法書士受験者が減少しているのではないか」と、その原因と対応に対する質問があった。規制改革の結果、弁護士を含める業務独占事業者に対する魅力は、それを職業としようとする者にとっては、一般に薄れてはいるが、各士業には各士業なりに、ここしばらく続いている資格魅力の減退には、それなりの個性、事情もある。しかし、確かにこの資格業者、主に法律関係専門資格業に共通している一般的致命的弱点がある。それはITによる効率的な情報処理能力と外国語への対応能力だ。50年前には、当時、中央大学がはばをきかしていた司法試験受験者達には三無い特徴があると言われていた。それは自動車免許がない、理数に弱い、英語が出来ないの三無い特徴である。その傾向は、法律系資格業者に今も広がっている傾向で(車免許を除き)、そのことが、現代コンピューター社会への適応を困難とし、その結果、独占業務資格への依存性をいよいよ高め、能力による競争力を自ら劣化させているのである。