司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 民事法務局長の司法書士への懲戒権は行政処分の一種であるから行政手続法に従って実行されることになる。その手続きの実行は当然に憲法上の要請を満たしたものでなくてはならない。公務員の処分行為の憲法適合性は公開の法廷において直接問われることになる。司法書士の国民としての人権はこのようにして保証されているはずであるが、実際には監督庁に対しても、その被指導団体たる司法書士会に対しても、その処分の公正公平性憲法適合性に対する一般会員司法書士からの信頼感は薄い。

 
 監督官庁と認可団体より構成される強制入会制度のもとで、その構成員たる司法書士の基本的人権が護られているかどうかなどは、一般国民にとっては、どうでも良いことなのかも知れない。それどころか独占的利益を食む同じ穴の狢が何を愚痴っているんだと笑い者にされてしまいかねない。とすれば、司法書士個人は、自らの人権は自ら守り、その侵害については、自ら公に、即ち法廷において、世論に対して主張しなくてはならないだろう。

 
 法形式的には、行政手続き内において会員には不服申し立て権が保障されており、当局の最終処分に対しては、公開の法廷に対して審判を求める事ができる。司法書士なのだから、自分の権利を主張することでもあり、弁護士に依頼するまでもない。そうであるから、会員は、又、強制会会員であるからこそ、さらに世間に法律家、法律専門家であると主張しておればこそ、執行部の違法恣意的な手続きや行政庁の不当と思われる処分に対しては、会員はその権利侵害の事実の存否に対して、公の公開された手続きにおいてその審判を求めるべきである。

 
 上記のように、会員の保護手続きが、法的に存在するにも関わらず、その制度を活用する会員は少ない。保護手続きと言っても、強制会制度の枠内での救済手続きでしかないためその効果を信用できないからだ。

 
 司法書士会員の背景には以上述べてきたような背景があり、その結果、司法書士は過剰に保守的となり何事にも消極的となる。その事が、遠くない将来、5〜10年来に司法書士制度に深刻な危機的事態をもたらすのではないかと考えている。

 
 この危機はすでに進行している。その背後に何があるのか、次回に論じることにしよう。



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