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 注意勧告処分取消仮処分命令申立書 (後半)

 

 (ⅰ)独占禁止法違反について

 

 債務者東京司法書士会は独占禁止法第8条の事業者団体であり、団体には独占禁止法の遵守が義務付けられている。公正取引委員会のホームページ「資格者団体の活動に関する独占禁止法の考え方」というページでは、資格者が守るべき独占禁止法の基準が示されている。そこでは「2 広告に関する活動について(1)独占禁止法上問題となるおそれがある場合」について、「資格者団体が、会員の行う広告について、媒体、回数、場所、内容などを制限することにより需要者の正しい選択に資する情報の提供に制限を加えることは、独占禁止法第8条第4号の規定に違反する恐れがある。また、このような行為により、市場における競争を実質的に制限することは、独占禁止法第8条第1号の規定に違反する」とある。

 

 従って本件、注意処分第1の根拠とした平成24年5月19日の東京司法書士会の総会決定「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第3条第6号 司法書士の品位または信用を損なうおそれのある広告」という規定は、規制の具体的範囲や基準が見えず、規制者の恣意的主観的判断で構成事業者の広告行為を団体が専断的に規制できるものであるから、この「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第3条第6号」の規定自体無効であるが、同時に、独占禁止法にも違反するものである。

 

 よって民法90条の公序良俗にも違反し、無効な規定であるから、当然に、この無効の規定による注意勧告処分、「第1 消費者金融会社の店舗の敷地内やこれに近接する場所で利用者を待ち受けて声をかけチラシを配布するなどして、過払金返還請求事件や債務整理事件の勧誘をしないこと」という処分は、公序良俗に反し無効である。

 

 (ⅱ)「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第7条」は無効である。

 

 なお平成24年5月19日の東京司法書士会の総会決定「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第7条」には「会員は、面識のないものに対し訪問又は電話による公告をしてはならない」という規定があるが、公正取引委員会のホームページの「資格者団体の活動に関する独占禁止法の考え方」の「事例3の3 相談の要旨の2(3)について」では、全く東京司法書士会の総会決定「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第7条」と同一の「会員は、面識のないものに対し訪問又は電話による公告をしてはならない」という規定の相談について、公正取引委員会の回答は「面識の無い者に対する依頼の誘致を一律に禁止することは、会員による顧客獲得のための活動を広範に制限することになり独占禁止法上問題となる(独占禁止法第8条第4号)」としており、したがって、平成24年5月19日の東京司法書士会の総会決定「東京司法書士会会員の広告に関する規範 第7条」の規定も独占禁止法違反で公序良俗に反する無効の規定となる。

 

 (B)次に、上記の問題とも関連するが債務整理業務における依頼者との面談について述べる。債務者は「会員は、事件を処理するにあたって、依頼者に面談することなく、電話、郵便、電子メール等だけにより事件を処理」しているように指摘するが、見てきたような嘘を言ってもらっては困る。債務整理事件を受任し、その事務を完了するまでどれだけのプロセスをたどっているか、以下に示す。

 

 ① 登録補助者が消費者金融利用者と面談し残高確認事務の代行嘱託書を受け取る。
免許証等で本人である事実を確認する。
 ② 消費者金融業者に取引履歴送付の依頼をする。依頼者一名で数社ある。
 ③ 業者より送付されてきた取引履歴に基づき利息制限法による再計算をする。
契約の法的評価をし、場合によれば数例の再計算書を作成。
 ④ 登録補助者又は登録資格者が依頼者の指定場所で依頼者に面談し残高の計算結果を持参、その際、債務整理の依頼があればその時に委任状に書面押印してもらい、事務所に持ち帰る。
 ⑤ 担当登録司法書士が、その委任状に基づき、本人とコンタクトしその時本人の依頼内容、意思の再確認をする。
 ⑥ 業者に履歴の再送付を依頼する。
 ⑦ 再送付されてきた履歴を再チェックし結果と方針を登録司法書士が本人と打ち合わせる。
 ⑧ 業者に介入通知を送付する。
 ⑨ 業者から電話で回答が来る。それにつき登録司法書士又は登録補助者が本人と打ち合わせをする。
 ⑩ 各社と交渉及び本人との打ち合わせが繰り返される。
 ⑪ 以上の結果、和解手続き又は裁判手続きが始まる。裁判には登録資格者同行。
 ⑫ 和解書作成又は判決で以上の債務整理業務が終わる。

 

 以上の手続きの実行のどこに違法な事実があるか、債務者は、債権者に対して本案において、その違法な事実につき立証すべきであり、その理由も述べなくてはならない。

 

 (ⅰ)独占禁止法違反について

 

 「注意勧告第2 依頼者と面談することなく、債務整理業務を行わないこと。」

 

 この資格者面談強制も独禁法に違反し、公序良俗に反し無効である。

 

 公正取引委員会のホームページ「資格者団体の活動に関する独占禁止法の考え方」の「3(1)独占禁止法上問題となる場合」において公正取引委員会は「資格者団体が、(1)他の会員の顧客との取引を禁止すること、(2)事業活動を行う地域を制限すること、(3)会員間で業務を配分することなどにより、市場における競争を実質的に制限することは独占禁止法第8条第1号の規定に違反する。また、市場における競争を実質的に制限するまでには至らない場合であっても、原則として独占禁止法第8条第4号の規定に違反する。

 

 例えば、次のような事例は、独占禁止法上問題となる」として、その違反事例の1番目に「参考例1 A資格者団体は・・倫理に関する規則において、会員が面識の無い者に対する誘致行為を行うことを一律に禁止する」行為を独占禁止法違反とした。

 

 本件における注意勧告処分第2の「依頼者と面談することなく、債務整理業務を行わないこと」という禁止処分も、独占禁止法の第8条第4号違反の「会員が面識の無い者に対する誘致行為を行うことを一律に禁止する」という行為に該当するので、当然に公序良俗に反し無効な処分であるといえる。

 

 第二 被保全権利のまとめ

 

 憲法13条 幸福追求の権利と個人の選択の自由権
 憲法21条1項 表現の自由権(営利的言論の自由)
 独占禁止法8条1、8条4 構成事業者の機能又は活動に関する自由権

 

 第三 保全の必要性

 

 債権者は、債務者に対し、本案訴訟を提起すべく現在準備中であるが、本案の勝訴判決があるまで 本件「注意勧告処分」により、消費者金融会社の店舗近辺の公衆用道路や広場で消費者金融の利用者を待ち受け、声をかけチラシを配布するなどして、無料残高サービスの勧誘や過払金返還請求事件、債務整理事件等の勧誘が禁止され、さらに依頼者と面談することなく、債務整理業務を行うことを禁じられれば、公開の場での宣伝広告手段が全面的に奪われ、かつ関東一円など広域での営業が全くできなくなってしまう。

 

 その結果、顧客を得ることは非常に困難になり、月間25人ほどの顧客の獲得も難しくなり、すでに職員も口には出さないが、今回の処分によりかなり動揺している。これでは廃業という問題がすぐに現実となってきかねない。現在、従業員は総員10名おりますが(甲8号証)かれらもこのままでは、この厳しい昨今の世の中で、職業を失ってしまう。よって、債権者にとっては、重大な営業上の損害の発生が切迫している。

 

 上記事情に照らせば、とりわけ顧客の信用第一を旨とする債権者の業務の性格上かかる理由なき債務者の処分行為は速やかに取り消される必要がある。又本件においては、仮処分決定発令により債務者に損害が発生する余地は一切ないことは明白である。

 

 よって、申立の趣旨記載の裁判を直ちに、発令されるよう求めて本件申立に及ぶ次第である。

 

 以上
 
 疎明方法

 

 1 甲1号証  注意勧告書(東京司法書士会 会長 清家亮三)
 2 甲2号証  決議書(東京司法書士会注意勧告量定第1小理事会)
 3 甲3号証  「無料残高確認サービス」と題した案内チラシ
 4 甲4号証  ATMから排出されて来る領収証
 5 甲5号証  事務所作成再計算書
 6 甲6号証  アコム株式会社の取引履歴
 7 甲7号証  事務所案内パンフレット
 8 甲8号証  従業員リスト

 

 添付書類

 

 1 甲号証写し
 2 東京司法書士会会則写し
 3 「多重債務処理事件規範規則」東京司法書士会の平成17年5月13日の総会決定写し
 4 「東京司法書士会会員の広告に関する規範」平成24年5月19日の東京司法書士会の総会決定写し



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