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 〈フランチャイズ化する法律事務所〉

 ダイアモンド・オンライン特集「弁護士界の憂鬱」第2回では、石丸ビジネスについてその基本的考え方を、石丸弁護士自らが語っている。ポスト過払いバブル対策として石丸氏は「寿司店経営の他に二つの対策を持っている。一つは地方に支店をつくっていく。・・地方は弁護士の偏在がまだまだ見られる。弁護士が少ない地域は多い。それに、まだまだ「殿様商売」の弁護士もいる。そういうところで、支店をつくって活路を見出していく」と述べる。

 もしも石丸支店が各地で登記代理も始めたら・・と、すでに心配になってきた司法書士もいるだろう。何しろ氏の構想はでかい。カルテル利潤で稼いだ資金も豊富、支店の目標は「全国235箇所だ。裁判所の本庁と各支部のある場所が235箇所だからだ。・・弁護士人数は400から500人くらいをイメージしている」という。現在の弁護士数が90人前後だから2.5倍の規模となる。弁護士人口増加も石丸弁護士にとっては絶好のチャンスなのである。

 司法書士業も同じだが、弁護士業も店舗開設に費用はかからない。支店一個「初期費用は300から400万円あれば足りる」とも言われる。こうなるとロースクールや修習の費用で借金漬けとなっている新人資格者にとっては300~400万円の開業資金の捻出も困難だから、とりあえず石丸弁護士支店に就職ということになり、石丸氏は、増員弁護士就職難の救済者となるわけだ。

 支店開設は、「イニシャルもランニングも安い」という石丸氏の発言に、ダイアモンド・オンラインの記者氏は「そのことをあまり言うと、もっと値段を下げろと言われてしまいますよ」と忠告、これに対し「こんなこと、他の弁護士は口が裂けても言わないと思いますよ(笑)」と石丸氏。

 石丸氏の商売が、実は弁護士界多数が必死に守ろうとしている弁護士業界カルテルを逆に利用して巨額な富をあげているということを、石丸弁護士は百もご承知なのだと私は思う。弁護士の業務独占、資格独占体質が、自動的に石丸ビジネスの巨大化に貢献している分けである。

 私は事務所で良く言うのだが、もし債務整理の示談交渉の権限を民間に開放すれば、弁護士1社4~5万円相場は、一挙に1000円になってしまうだろう(1000円になれば石丸事務所は一体どうなるのだろう)。実際、アメリカではこんな示談の代理など民間コンサルタントが安い費用でやっている。依頼者も満額請求したければ訴訟手続きをとれば良いだけで、今では探せば日本でも安い費用で、法廷で過払い金を回収する司法書士もいる。

 つまり本来市場競争にさらされてしかるべき業務を、弁護士や司法書士が明らかに理由無く一般国民に対し不当に独占している・・それが故に生じた、独占のもたらした超過利潤、これこそが、弁護士司法書士の過払い金バブルを惹き起こした真の原因と言えるのである。

 石丸氏は、まるでミルトン・フリードマン氏の様な経営理論を展開する。それについての批評は次回にするが、私が石丸ビジネスに感じた胡散臭さというのは、実は石丸氏が批判する弁護士界のカルテル体制がもたらしている病弊を、石丸氏が正面から利用して稼いでいるところにあるのだ。もちろんそれが故にといって石丸氏が非難されるいわれもないし、理由も全く無い。

 むしろ問題なのは、弁護士だけではなく独占資格者に共通して存在する、消費者の利益や選択権を軽視するその体質であり、そこから必然的に導き出されてくる大いなる国民に対しての偽善なのである。個人と消費者主権がグローバル化しつつある時代に、資格者の食うための業務独占がもたらす偽善を、今では誰でも知っている。



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