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 〈具体的基準見えない条項、司法に問う〉
 

 令和3年1月15日、東京高等裁判所の判決を不服として最高裁判所に原判決は憲法に違反しているとして上告しました。不服の内容は、東京司法書士会の「品位を欠く広告をしてはならない」という会則の法務大臣の認可処分が違憲であり、その会則を根拠とした東京司法書士会の注意勧告は無効であるというものです。品位保持条項は、弁護士会はじめとする強制入会制度を採用する団体の規制法には、目的規定の次には訓示規定としてどこの団体規制法にも規定されているものです。

 そして、同様に、どこの強制加入団体にも広告についての会則がありますが、その会則には、かっては「品位を欠く広告をしてはならない」という規制文言が多くありました。その後、公正取引委員会の指導や審決もあって、本件、東京司法書士会会則のように未だにこのような不確定概念を直接の規制規定としているところは少なくなりました。

 しかし、たとえそれが未だにある訓示規定に過ぎないものであったとしても、この「品保持条項」については、たとえそれを資格者が遵守するつもりであっても、その「品位」という文言からは具体的な基準が見えず、そこで多くの資格者が迷い悩む事になります。そこで、私は、この問題を解決すべく、広告についてではありましたが「品位規定」問題について最高裁の審判を仰ぐことにしました。

 以下、本件、上告理由書を公開し皆様にも考えていただければ幸いです。いわゆる三行判決で門前払いされるか、それもまた、我が国最高裁判所の思想と評価でしょうが、実質的な判断判決が出れば、それが今後の資格者の品位問題についての指針となるでしょう。


  上 告 理 由

 原判決には、憲法第21条1項、憲法31条他の解釈に誤りがある。理由は、以下の通りである。

  主  張

 司法書士会会則101条「会員は、虚偽もしくは誇大な広告又は品位を欠く広告をしてはならない」という規定中の「品位を欠く広告をしてはならない」という規定部分は、憲法第21条1項、および憲法第31条に違反し無効であり、このような規定を根拠にした原審の判決も無効であり、よって上告人に対する東京司法書士会の平成27年12月3日付注意勧告(司法書士法61条)も、憲法第21条1項に違反し、民法90条の公序良俗にも反するから無効である。

 上告人である認定司法書士が、消費者金融のATMボックス付近でそのATMの利用者に対し「債務者の取引履歴の代理取り寄せと利息制限法に基づいた残高再調査再計算業務提供」の勧誘広告を行っていたところ、被上告人は、この広告が東京司法書士会会員の禁止される広告に関する規範規則第3条6号「司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当する広告であるから、「消費者金融会社の敷地内やこれに近接する場所で利用者を待ち受けて声をかけチラシを配布するなどして、過払金返還請求事件や債務整理事件の勧誘をしないこと」という注意勧告を、平成27年12月3日付けで上告人に発し、上告人のする上記広告を禁止した。この注意勧告について上告人は本件注意勧告につき「その前提となる事実認定に誤りがあり、また、注意勧告の裁量を逸脱した」ものとして、第一審に、その注意勧告が無効であるとして無効確認の訴えを提起した。

 ところが、一審も原審も、上告人の広告行為は、東京司法書士会規範規則第3条6号の禁止される広告「司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」に該当するとして上告人の請求を棄却した。

 そもそも、原審が請求棄却の理由とした東京司法書士会の広告に関する規範規則第3条6号「司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」は、法務大臣が認可した東京司法書士会会則101条「会員は、虚偽もしくは誇大な広告又は品位を欠く広告をしてはならない」という規定に基づいて、総会決議で定められた規定である。

 その総会決議の根拠とした東京司法書士会会則101条「会員は、虚偽もしくは誇大な広告又は品位を欠く広告をしてはならない」という規定文言のうち、「品位を欠く広告をしてはならない」という文言についてみれば、法務大臣がしたこの部分についての認可処分は、過度の広範性、漠然性、曖昧性のある文言、規定を認可したものであって無効であり、その認可した文言、規定「品位を欠く広告をしてはならない」は、憲法31条の「適正手続き」、憲法21条1項の「表現の自由」に違反する規定の認可、処分であった。

 したがって、法務大臣の認可した無効な会則「品位を欠く広告をしてはならない」という規定を根拠とした、東京司法書士会の禁止される広告に関する規範規則第3条6号「司法書士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」という規定の違反を、原告請求の棄却理由とした一審及び原審の判決は、憲法21条1項、憲法31条に違反するものであり無効である。したがって、原審判決は直ちに棄却されるべきである。



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