司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>




 

 〈収入税のメリット〉

 ある人が、所得をベースに所得税を徴収する方法と、収入をベースに収入税を徴収する方法を試算したら、日本ではほぼ同じくらいの税収になるという結果が出たと発表している、という話を聞いたことがあります。所得税であれ、収入税であれ、税収の総額は法律で適切な額を徴収することができるはずです。公平と簡便な方法を取るべきです。

 前述の通り、税金の役割の第一は、公共サービスの資金の調達というところにあります。その視点でみれば、所得より収入に税金をかける方法の方が公平です。

 また、税金徴収方法の簡素化という視点に立てば、所得に税金が掛かるやり方を止めて、収入に税金を掛ける徴収方法の方がはるかに簡便です。所得税を止め、収入税にすべきという考え方は、検討に値すると思いますが、いかがでしょうか。

 税務調査で、経費になるのならないのと議論する必要もなくなります。税務署から「経費として認めない」とか「否認する」などと、上目線で言われなくてもよくなります。「脱税だ」とか「刑事告訴」などと脅かされ、飼い犬に手を噛まれるような思いをしなくともよくなります。自分で稼いだカネから払う税金に関し、税務署から命じられたり、脅かされたりする機会が少なくなるはずです。

 そのためには、法の改正か必要でしょうが、法は憲法の下にあるものです。憲法上、それが正しいと思えるものに合わせるために、法を改正することが必要であれば、改正することに躊躇するべきではありません。法は国会で、国家議員の先生方が決めることです。国会議員の先生方に、まず勉強してらい、最善の方法を編み出してもらいたいのです。

 行政に任せ切りでは、国会も国会議員も不要です。ここのところは、憲法論です。最後は主権者である国民が決められるのです。税務署に威張られるような制度は、主権者である国民が止めさせればいいのです。

 その前に、国民の代表である国会議員が国民に代わって国民のために役立つ制度をつくるべきですが、大臣になりたいなどという考えで首相にものが言えないようでは頼りにはなりません。


 〈国民自ら監督する自覚が必要〉

 税金の徴収方法で、特に申し上げたいことは、税務調査のやり方です。調査官は国民に対し、「あの帳簿を作成し、準備しろ」とか、「あの資料を提出せよ」と求め、それを出さなければ、不利な取り扱いがあとか、時には、刑事告訴をするなどと、恫喝まがいの言動に及ぶことがあるということを耳にもし、目にもすることがあります。こんなことは、日本国憲法においても、絶対に許されることでもないし、許してはならないのです。

 こんなことを税務調査をする者に許すことは、飼い犬に手を噛まれることを許しているようなものです。国民主権の日本国憲法において、絶対に放置しておくことのできない問題です。憲法を勉強するということは、そういう時に国家機関に対し、言うべきことを言えるようにしておきたいからなのです。

 このような調査官の言動は、刑法の恐喝罪や脅迫罪に該当する可能性がありますから、目に余るような調査を受けたら弁護士と相談し、刑事告訴をすべきです。民法の故意、過失による不法行為に該当する可能性もありますので、国家賠償請求や損害賠償請求をすべきです。

 日本国憲法における税金は、主権者である国民が自ら国という機関に会費を支払うというものです。その会費を徴収する係である税務署から、国民が恫喝されるなどという状態を、国民は放置してはならないのです。

 企業だって、事業家だって、個人だって、税金を払うために働いているのではありません。税金の徴収の仕方は、税金を払う国民にできるだけ負担を掛けないような簡便なやり方でなければならないのです。税理士に代わってもらわなければ、申告や納税が出来ないようなやり方は改善しければなりません。

 行政のやり方は、税金の徴収方法に関しても、税金の使い方に関しても、国会の監視が十分になされなければならず、のみならず国民が直接監視しなければならないことも多くありそうです。

 前述した通り、日本国憲法の下での税金は、会費の分担ともいうべきものです、税務署が江戸時代の悪代官のような取り立て方をしたら、徹底的に、その責任を追及しなければならないのです。

 それは、国民自ら納税の義務を憲法上に掲げた反面として、税金の徴収のやり方と税金の使い方を常に監督しなければならないという自覚を持たなければならないのです。弁護士は国民のために、国家機関である税務署の税金の徴収方法が不当と思えるようなケースに対しては、敢然と立ち向かわなければならないのです。税金の徴収も税金の使用も行政行為ですが、不当と思えるようなやり方に対しては、司法の判断を求めなければなりません。

 司法の判断を求めるスタートは、税金の徴収に関し、納得がいかなかったら弁護士に相談することです。弁護士は憲法の番犬です。行政のやり方に不審な点が見えたら、吠えなければならないのです。税金の徴収に関しては、納得できない国民が少なからずいそうです。そのような国民は、まず弁護士と相談すべきです。

  (拙著「新・憲法の心 第28巻 国民の権利及び義務〈その3〉」から一部抜粋 )


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