〈日本国憲法の理想実現が使命〉
「地方弁護士の役割と在り方」の第2巻で、私の駄弁本の発行は150冊となるが、そのうち31冊は憲法の本である。国家機関が国民の自由及び権利を侵害する虞がありそうだと感じた時は、それを阻止しなければならないという思いで書いたものだ。
これまで書いた憲法に関する駄弁本を振り返ってみたい。地方弁護士の身としては、地方住民に分かってもらいたいという思いがあり、いずれも「大衆法律学」というタイトルで、一般大衆、地方住民が「読み易いように」「分かり易いように」を心掛けた。
日本国憲法の心を地方住民に分かり易く解説することは、地方弁護士の役割だと思い込んで、これまでも多くの講演をなし、駄弁本を発行してきた。これからも続けたい。
弁護士法第1条は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」と規定しているが、それは「弁護士は、日本国憲法の理想を実現することを使命とする」と言っていることと同じだと理解している。日本国の弁護士、従って地方弁護士も弁護士である以上、日本国憲法の理想を実現することが、社会的使命ということになる。そんなことは当たり前のことで、今更改めて語るようなことではないという思いもするが、そうではない。
「弁護士は、日本国憲法の理想を実現することが使命である」と、言い切りたい。プーチンの指揮するロシア軍のウクライナ侵攻と、それに対する世界の、そして日本政府の動きなどを知る度に、日本国憲法の理念をもっともっと発信しなければならないという思いを強くしている。
歳を重ね弁護士経験を積み、狡くなったり悪賢くなったりはしたくない。特に弁護士の社会的使命を果たすためには、疑い、打算、駆け引きなどはしないで、純粋に「日本国憲法の理想を実現することが使命である」という考えに徹したい。歳を重ねる毎にピュア(pure)な気持ちになって、弁護士は憲法の究極の価値である人命と人権を守ることが社会的使命だ、と確信するようになってきている。
〈地方弁護士としての具体的方法〉
ここでは、「弁護士は、日本国憲法の理想を実現するために役立つことを社会的使命とする」という考え方に立ち、地方弁護士がその社会的使命を果たすためには、どうしたら良いかについて、これまで自分がやってきたことを振り返り、これからどうやっていくべきかについて考えてみたい。
私の書くものは大衆向けだから、一般大衆に分かってもらいたいという思いで書いている。学問的な筋道を立てて考えられた専門の知識に基づくものではない。自分の心に湧いた思いをそのまま語るものであり、学問研究の成果などではない。
同じことを何回も繰り返し、諄いと思われる書き方で、決してスマートなどとは言えない。それを自覚しているから「駄弁本」と称している。田舎くさいのは、「いなべん」と名乗っていることに免じて許して戴き、気軽に読み流してほしい。地方弁護士である自分の社会的使命は、「人命と人権を擁護する」という思いに凝り固まっていることが分かってもらえればそれでよい。
弁護士法第1条の「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」との規定を以上のように解釈した上で、地方弁護士である自分の社会的使命を果たすために、自分は具体的にどうしたらよいのかを、これまで自分が地方弁護士として、やってきたことを振り返りながら考えてみた。
今、思い付くところは、①憲法の伝道師になりたい、➁憲法の番犬になりたい、➂地方住民の代言人になりたい、④強きをくじき、弱きを助けたい、⑤老馬の智で生き方の道案内をしたい、ということになる。
以下に、前記の具体的方法について思い付きを述べる。自分は地方弁護士として、その社会的使命を果たすためには、こういうことをしてきたということと、これから先は更にこうしたいという希望を述べるものである。稚拙であろうか、自分としては本気でそうしたいと思っている。それが地方弁護士の社会的使命であり、地方弁護士のやり甲斐だと固く信じている。
(拙著「地方弁護士の役割と在り方」『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』から一部抜粋)
「地方弁護士の役割と在り方」『第1巻 地方弁護士の商売――必要悪から必要不可欠な存在へ――』『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』『第3巻 地方弁護士の心の持ち方――知恵と統合を』(いずれも本体1500円+税)、「福島原発事故と老人の死――損害賠償請求事件記録」(本体1000円+税)、都会の弁護士と田舎弁護士~破天荒弁護士といなべん」(本体2000円+税)、 「田舎弁護士の大衆法律学 新・憲法のこころ第30巻『戦争の放棄(その26) 安全保障問題」(本体500円+税)、「いなべんの哲学」第1~16巻(本体1000円+税、13巻のみ本体500円+税)も発売中!
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