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 〈9条の出番〉

 国民に、戦中・戦後の日本人の生活苦と同じような苦しい生活をさせながら、ミサイルを発射している金・北朝鮮最高指導者を笑っていたトランプ・前アメリカ大統領にしても、それに盲従していた安倍前首相も、アメリカの戦力に張り合おうとしている習・中国国家主席も、プーチン・ロシア大統領も、軍事競争のため、多額の国家予算を垂れ流すという愚行に及んでいるという点では、北朝鮮の将軍様と同じ穴の狢。目糞鼻糞を笑うというレベルです。

 その人たちに、私は言いたい。「日本国憲法9条を見てほしい」と。9条は「戦争の放棄」と「戦力の不保持」を明記しています。もう一度、目を皿のようにして、日本国憲法の前文と9条を読んでほしいのです。特に、日本国憲法の尊重義務を負っている菅・現首相には、穴があくほど読んでほしい。国会議員の先生方にも、国民一人一人にも、もう一度読み直してほしいのです。

 人類対異人類の闘いに人類が勝ち、これから先の人類一人一人の幸せを実現するためには、9条の「戦争の放棄」と「戦力の不保持」を全世界が取り入れなければなりません。9条が生まれ、70年以上が経過し、9条はやっと全世界の舞台に登場する出番が回ってきたのです。

 これから9条は、世界中の憲法を引っ張っていくことになる。必ずそうならなければなりません。そうならなければ、人類は滅亡する。異人類との闘いに負ける前に、人類と人類との戦争によって滅亡すると思います。

 そもそも9条は、世界憲法を目指してつくられたものと考えるべきです。私は、拙著「田舎弁護士の大衆法律学 新・憲法の心」の「戦争の放棄」シリーズの第16巻において、「9条は世界憲法(9条私感)」と題して、日本国憲法9条の「戦争の放棄」と「戦力の不保持」の規定は、世界の憲法となることを目指したものだ、と述べました。

 「戦争の放棄」と「戦力の不保持」は、一国だけでは不十分な規定で、世界各国に広まらなければならないものです。日本国憲法は、いずれ国や国境を取り除き、世界連邦になることを目指し、9条で「戦争の放棄」と「戦力の不保持」を宣言しました。

 一国だけで、これら二つを掲げることは、極めて不安なことです。いつ外国から攻められるかもしれない。だから、一国だけでこのような規定を掲げるのは、ものすごく勇気のいることです。日本国憲法は、各国が続いて来てくれることを期待し、これらを9条に謳ったのです。日本国憲法の前文を読めば、そのことは分かります。

 だが、いまだ日本以外には、9条の規定を取り入れた国はない。このことは、極めて残念ですが、新型コロナウイルス問題は、多くの国が9条を取り入れてくれるきっかけになるのではないか、という期待を持っているのです。


  〈異人類との闘いに無力な軍事力〉

 アメリカは、第二次世界大戦後、25回も戦争に関与しています。9条は、日本占領連合国軍最高司令官であったアメリカ人、マッカーサーの考えが色濃く影響しています。それにもかかわらず、アメリカは、いまだ「戦争の放棄」も「戦力の不保持」も取り入れていません。

 トランプ前大統領などは、アメリカは世界最高最大の軍事力を持っていると、絶えず自慢していました。「アメリカファースト」などと叫んでいました。しかし、彼に問わなければなりません。世界最高最大の軍事力で、新型コロナウイルスを撃退できるのか、と。できるのならば、早速にそれを世界に示してもらいたい。

 今、世界で最も新型コロナウイルスの感染者が多いのは、アメリカです。アメリカの世界最高最大の軍事力など、新型コロナウイルスに対しては、何の役にも立っていないことを如実に示しています。

 人類の敵は、同じ人類だけではありません。新型コロナウイルスで世界は右往左往しています。新型コロナウイルス問題が解決しても、新・新方コロナウイルスが登場しないとは断言できません。アメリカの軍事力では、それにも対応できません。軍事力では、地球温暖化問題も、放射能問題も、食糧問題も何一つ解決できないのです。

 軍事力は何一つ生産するものではなく、ただ人を殺し、国を破壊するものです。軍事力は人の幸福を壊し、人の不幸を導く道具です。このようなものは、廃絶しなければなりません。悪いことは、すぐに止めなければならない。屁理屈は不要です。

 戦力や軍事力は、必要悪などというものでもありません。直ちに止めなければならない絶対悪です。悪いことの最高最大のもの。犯罪の集まりであり、国を挙げての犯罪行為です。こんなことにカネを使うことは、直ちに止めなければなりません。こんなことのために税金を納めることは、犯罪行為に等しいというべきです。

 今回の、新型コロナウイルスとの闘いに人類が勝ったとしても、その先にはどのような異人類が襲撃してくるか分かりません。ウイルスの他にも身近には、地球温暖化問題をはじめとする地球環境問題、放射能問題、食糧問題、プラスチックごみ問題などなど、問題は山積しています。

 これらの問題は、人類が一致団結して立ち向かわなければならないものです。これらは各国の戦力がいくら協力になっても解決できません。むしろ、足を引っ張るだけです。人類が異人類との闘いに勝つためには、まず世界から戦争と戦力を、取り除くことをしなければならないのです。

 一日も早く、世界中の国々の憲法に、「戦争の放棄」と「戦力の不保持」の規定が明記されることを心から望みます。アメリカも中国もロシアもイギリスもフランスもドイツも、韓国も北朝鮮も日本も、地球上の国という国が、国という垣根を取り払い、世界連邦ができる方向に動き出すことを望みます。
 (拙著「新・憲法の心 第27巻 戦争の放棄〈その25〉」から一部抜粋)


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