司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 〈戦争放棄の規定は現実問題にどう向き合うべきか〉

 

 私は、拙著「旧・憲法の心」において、「日本国憲法は、過去の反省と未来の理想の下に創られたものであり、単に現実問題に対応するという目的だけに創られたものではない」と述べました。

 

 そのような考えの下に、現実の問題解決をどうすべきかは、「旧・憲法の心」においては、どちらかというと直接関わることを避けてきた気がします。現実の問題は、「政治の心」の問題であるとしてひとまず置いておき、「憲法の心」、つまり憲法の真意を知ることに意を注いできました。

 

 「『憲法の心』と『政治の心』は、同じではない」と述べてきました。そして、「『憲法の心』は、その時々の政治問題の都合によって、いちいち左右されるべきではない」とも述べてきました。私が言いたかったのは、「政治の世界は、権力闘争の世界という一面を否定できず、権力争いの駆け引きの道具に、憲法が利用されるようなことがあってはならない」ということにあります。

 

 しかし、現実の問題にすっかり目をつぶり、「現実の問題は、政治的問題だから」と言って、見て見ぬふりを通すわけにはいかない気がしてきました。「憲法の心」は、現実の問題に、政治問題に、方向性を示す重大な役目があと考えるからです。

 

 「『憲法の心』に則り、現実の問題、政治問題は解決されるべきであり、また、されなければならない」と考えるからです。「憲法の心」から離れ、現実の問題を、政治問題を解決してはならないのです。「憲法の心」が現実の問題を、政治問題を引っ張らなければならないのです。憲法が、政治を導かなければならないのです。政治は、「憲法の心」を目指さなければならないのです。

 

ここからは、現実の問題を解決するため、日本国憲法はどのような方向を示しているかを探ってみます。

 

 これは、「憲法の心」を現実の問題や政治問題解決に活かすためには、しなければならないことなのです。ここから目を離して憲法を論じても、絵空事になってしまいます。現実の問題解決や政治問題解決には、役立たないものとなってしまいます。

 

 

 〈「戦争放棄」規定が関わる3つの現実問題〉

 

 憲法は、国の基本法です。法治国家、即ち「法にもとづいて、すべての政治がおこなわれる国家」である日本は、国の基本法である憲法を離れ、つまり「憲法の心」を離れて、政治はできないのです。そんなことをしたら、法治国家でなくなり、近代国家としての資格がなくなってしまいます。憲法に則った政治が行われなければ、近代国家ではなくなってしまいます。

 

 現実の問題、政治問題に、憲法の「戦争放棄」の規定が深く関わっていることは当然です。日本国憲法の「戦争放棄」の規定との関係で、これまでも、これからも、特に問題となる現実問題、政治問題の主な点は、次の3点ではないでしょうか。

 

 第1点 自衛隊はどこへ行くべきか
 第2点 集団的自衛権の行使を認めるべきか
 第3点 もし日本が攻撃された場合、どのようにして守るべきか

 

 他にも問題はありそうですが、ここではこの3点について、順次私の考えを述べてみたいと思います。考えと言っても、それほど深く考えたものではありません。学問的に研究したものではありません。学問的論文ではありません。どちらかと言えば、考えや感想を述べるエッセーに近いものです。

 

 ここでも私の印象、つまり私の心に刻み込まれた感じを率直に、曲げたり隠したりせずに述べてみたいと思います。私が76年間生きてきて、また、田舎弁護士として48年間余にわたり、法律に関わってきた体験を通して、「こんな風に考えた方がいいのではないか」と感じたことを述べるものです。

 

 一個人の私見、つまり個人的意見だけでは参考にならないので、学問的裏付けが必要だと思われる方は、投げ遣りな言い方となりますが、学問的裏付けをお調べ下さるようお願いいたします。そのうえで、「ここはこう考えるべきだ」などと、お教え頂ければ幸甚です。それを参考にして考え方を練り直し、より良いものにしていきたいと考えています。

 

 これを読んで「私もそう思う」などと言って頂ければ、嬉しくもあり、身に余る光栄です。そこまで至らなくても、「そんな考え方もあるのか」程度に、心に留めて頂ければ十分です。読者の皆さんが、日本国憲法を、「戦争放棄」の規定を考えるきっかけにして頂きたいのです。そんな思いで、素朴な気持ちを述べてみます。
 (拙著「新・憲法の心 第5巻 戦争の放棄(その5)」から一部抜粋)

 

 

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