〈知ってほしい「9条の会」〉
日本人は、ものを深く考えない人が多いと言いましたが、もちろん日本人の中にも、物事を深く考えている人は沢山います。私など足下にも及ばないほど深く考えている人も少なくありません。ただ、考える人よりも、考えない人の方が多い。そのうえ、深くは考えているのだが、行動に移せない人が多いために、安倍長期政権を生み出し、その政権に森友問題や「桜を見る会」やトランプ大統領からの戦闘機の大量購入など、目に余る勝手なことをさせているのです。
しかし、日本人の中にも、深くものを考え、行動している人たちはいます。その代表が日本中にいる「9条の会」のメンバーです。「9条の会」のメンバーは、よくものを考え、行動する人たちです。「9条の会」と、そのメンバーは、日本人が命じられている天命を深く自覚し、考え、行動している人です。
「9条の会」のメンバーは、日本国憲法9条が人類史上最高の哲学であることを知っていて、戦後75年間、日本が戦争に巻き込まれなかったということの、9条の真の価値を認識し、9条改定を阻止し、9条を守ろうとしています。
9条を死守しなければならないと考える私にとっては、同会のメンバーは心強い同志です。同じ主義、主張を持つ仲間です。世の中にもっと広く9条の会の存在を知らせたい。私が、「戦争の放棄」シリーズを24巻発行したのは、この「9条の会アピール」と同じ考えによるものです。
深く考えない馬鹿な国民が多過ぎるとは言いましたが、最初に「9条の会」を立ち上げた9人の呼びかけ人(後述)の方々はもちろんですが、各地にある「9条の会」メンバーは、よく考え、行動しています。私の主義主張も、「9条の会」から教えられているのです。
そのような「9条の会」を残念ながら知らない人が少なくありません。そういう人に、この会の存在を知らせることが、今、私にできることの一つです。「9条の会アピール」が言う「一人一人ができること」の一つです。同会とそのアピールを、もっともっと日本国民に、そして世界中の人々に知らせたいのです。
「9条の会」の一員として、新型コロナウイルス撃退に、世界中の人々が団結しなければならないことと同時に、国と国とが戦力を使って戦う戦争がいかに愚かなことかを、新型コロナウイルス問題で深くものを考えなければならない今というチャンスに知らせたいのです。
9条は、世界中の人々が一致団結するための旗印としなければなりません。異人類である新型コロナウイルスと闘うためには、戦争の放棄と戦力の不保持を宣言した9条の心が不可欠です。9条の心は、国と国とが戦争をしないように、国や国境を取り払い、世界連邦の樹立を目指しています。新型コロナウイルスとの闘いは、世界が一致団結しなければならないもので、世界連邦を目指す絶好の機会なのです。
「9条の会」が、どういうことを考えているのか、また、同会のメンバーである私の考え知ってほしい。私と一緒に考えてもらいたくて、こんな駄文を書いています。
〈指導者は非戦を決意すべき〉
ついこの間までは、トランプ大統領も、安倍前首相も、北朝鮮のミサイル発射に神経を苛立たせていましたが、新型コロナウイルスが世界中に感染したら、それにはあま苛立たなくなったように見えます。つまり、北朝鮮のミサイル問題より、新型コロナウイルスの方が差し迫った大事な問題だと考えているのです。それは、極めて当たり前の考え方です。新型コロナウイルスの世界中の感染拡大は、戦争などしていられないということを世界中に知ってもらういいチャンスとなりそうです。
人類が本気で闘わなければならない相手は、頭がおかしいとも思える権力者ではありません。今は、戦争にいかにして勝つか、などということにうつつを抜かしている時ではない。戦争などしている時代は去ったのです。新型コロナウイルスという異人類と、今、世界中の人間が闘っていますが、苦戦しています。
アメリカは感染者も死者も世界一です。欧米諸国も韓国も日本も、医療先進国といえるエリアですが、アフリカや南米、北朝鮮で感染が拡大したら、どうなるのでしょうか。難民は、内戦下の国民は、どうなるのでしょうか。治療を受けられない人、食べられない人のことを考えなければなりません。多くの人が死んでいくことが予測されます。新型コロナウイルス患者の死亡者は、令和2(2020)年12月29日現在、177万人に上っています。
中国の習国家主席にも、北朝鮮の金最高指導者にも、また北朝鮮や中国を念頭に置き、兵力増強に歩調を合わせて進んできたトランプ大統領にも安倍前首相にも、菅首相にも、もうばかばかしいことをしている時ではないことを知ってほしい。いつまで「ばか」のままでいるのか。いい加減に気付いてほしいのです。そして、これらの指導者を支持したり、盲従する各国国民にも考えてもらわなければなりません。武力で闘う戦争は、もうしないと決意してほしい。人類と人類とが武力で闘っていたら、人類は異人類によって滅ぼされかねないのです。
新型コロナウイルス問題の他にも、異人類との闘いは沢山あります。今、直面している問題だけでも、地球温暖化問題があり、放射能問題があります。さらに、アフリカで発生したバッタによる食糧危機問題などが頭に浮かびます。これらの問題を解決しないまま、戦争が起き、核戦争になったら、人類はどうなってしまうのでしょうか。
「9条の会」のメンバーは、そういうことを心配し、9条を守り、9条を世界憲法にしようと一生懸命活動しています。そのような「9条の会」の存在を知ってほしいのです。
「9条の会」は、日本が戦争を永久に放棄し、戦力を保持しないと定めた日本国憲法9条の改定阻止を目的として、日本の護憲派の作家ら9人によって、平成16(2004)年に結成されました。
ちなみにその9人は、井上ひさし(作家)、梅原猛(哲学者)、大江健三郎(作家)、奥平康弘(憲法学者)、小田実(作家)、加藤周一(評論家)、澤地久枝(作家)、鶴見俊輔(哲学者)、三木睦子(社会活動家)です。この顔ぶれを見れば、政界人や財界人の集まりでないことは、すぐ分かります。文化人の集まりであり、人間はどう生きるべきかということを見極めた知恵者、つまり哲学を身に付けた方々の集まりです。
この趣旨に賛同する人々によって、全国各地に「9条の会」が立ち上げられ、令和2(2020)年8月現在、拙著を送りつけている各地の「9条の会」は、170くらいになっています。ちなみに、私は岩手県一関市の「9条の会」の世話役の一人になっています。
日本国憲法9条の改憲阻止行動に賛同する考えの方は、既に出来ている最寄りの「9条の会」のメンバーになってほしいのです。メンバーになりたい方、新たに9条の会を立ち上げたい方がおられたら、まず、最寄りの会に一声かけて頂ければと思います。
(拙著「新・憲法の心 第27巻 戦争の放棄〈その25〉」から一部抜粋)
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