司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>



 〈弁護士はまず吠えなければならない〉

 国民や地方住民が気付く前に、危険を感じたら、弁護士は憲法の番犬として、主権者である国民に先んじて吠え、危険を知らせなければならない。弁護士には、憲法の番犬としての役割があり、それ相応の権限を与えられている。弁護士は法律上、憲法の番犬として重大な社会的使命がある。弁護士法第1条は、「憲法の番犬」とは表現していないが、憲法の番犬的使命を弁護士に期待していることは間違いない。「弁護士は、基本的人権を擁護することを使命とする」と明言している。

 ここの認識は、軽く考えてはならない。自由に物が言えなくなり始めたら、それは加速度が付き、あっという間に権力者の考えに反することは言えなくなってしまう。そのようになる前に、早いうちにそのような芽は摘み取らなければならない。危険を感じたら、まず弁護士は吠えなければならない。それは弁護士の社会的使命である。

 地方弁護士が、人命と人権を守るという使命を果たすためには、地方弁護士は憲法の番犬とならなければならない。これは地方弁護士の社会的使命として、まず果たさなければならない役割である。

 安倍政権の後を継いだ菅政権において、学術会員の任命問題が発生した。このような問題を見落としたら、どんどん権力者が勝手なことをやり出し、いずれ国民が、国家権力に対し、物が言えない状態となりかねない。

 そのような思いで問題が発生するや、すぐに「新憲法の心(第29巻)国民の権利及び義務(その4)――学問の自由」という駄弁本を発行した。その本では、このような人権を軽視するような政治家の動きは、小さな芽でも摘み取るため、弁護士は吠えなければならないことを強調した。

 地方弁護士は、地方住民に対し、安倍元首相などのような政治家によって憲法9条を中核とする平和憲法が改定され、人命と人権が侵害されることになりかねない危険な状況となっていることを物を言える今のうちに言わなければならない。言うべき時は今であり、今知らせなければならない。国家機関も地方機関も、時の政権担当者に気を遣い、憲法改定阻止の集まりなどには、公的施設を使用させないような動きをしたりして、物が言いにくい環境が作られそうな芽が出でいる。

 番犬は、用心のため家の番をする犬であるが、地方弁護士は、地方住民の人命と人権に危険が迫ってきたら、用心するように吠えて、地方住民に対し、危険を知らせなければならない。地方弁護士は、地方住民の番犬としての役割を果たさなければならない。特に地方住民の人命と人権が侵害されるような気配を感じたら、吠えて吠えて吠えまくらなければならない。吠える時期は、気配を感じたら、すぐにやらなければならない。遅くなればなるほど、危険は増大するだけではなく、吠え難い状況が権力者によって構築されてしまう。


 〈物が言えるうちに阻止行動を〉

 プーチンのロシア国民や軍事政権のミャンマー国民のように言いたいことが言えない状況に追い込まれたら、もう遅い。政権の考えに反する言動をしたら、自らの生命さえ危うくなる。命を捨ててまで抵抗することはすべきではない。人命は失ったら戻って来ない。自分の命を大事にすることは、他人の命を大事にすることに繋がるのであり、自分の命を犠牲にしてはならない。

 政権の考えに反対したら、命を奪われるようになったら、主権者の国民が何かを言おうとしても、権力者によって弾圧されてしまう。権力者が武力などで国民の活動を押さえつけることが始まったら、誰もそれを止めることは出来なくなる。個々の地方弁護士の力などでは、その勢いはもう止められない。

 その前に、つまり物が言えるうちに、弾圧の芽が出そうだと感じたら、それを阻止する行動をすぐに取らなければ手遅れになってしまう。権力側からの弾圧は、加速度が付き、急激に進むことは経験上明白である。

 第一次安倍内閣が成立し、安倍元首相が「憲法改正は自民党の党是であり、憲法改正を目指す」と明言した時から、9条改定は絶対阻止しなければならないとの思いで、9条改定阻止の考えを、地方住民に発信し続けてきた。講演でも、9条改定阻止を訴え続けてきた。「大衆法律学」と称して、一般大衆、特に地方住民向けの分かりやすい法律の本を発行し続けている。

 それらの本の多くには、国や地方や大企業や大組織に対する批判が多く含まれている。仲間の中には、そういう力から圧力がかかってくることを心配してくれる人もいる。幸い今までのところ、どこからもクレームを付けられたことはない。相手にされていないということではあろうが、日本はまだ自由に物が言える状況にあるからだ。これは国民の憲法を尊重しようとの総意が有効に働いているからだ。

 地方弁護士は、このような状況にあるうちに言わなければならないことは言っておかなければならない。ロシアやミャンマーのようになっては遅い。戦前の特高、つまり思想犯罪に対処するための特別高等警察のようなものができてからでは、言いたいことが言えなくなる。

 (拙著「地方弁護士の役割と在り方」『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』から一部抜粋)


 「地方弁護士の役割と在り方」『第1巻 地方弁護士の商売――必要悪から必要不可欠な存在へ――』『第2巻 地方弁護士の社会的使命――人命と人権を擁護する――』『第3巻 地方弁護士の心の持ち方――知恵と統合を』(いずれも本体1500円+税)、「福島原発事故と老人の死――損害賠償請求事件記録」(本体1000円+税)、都会の弁護士と田舎弁護士~破天荒弁護士といなべん」(本体2000円+税)、 「田舎弁護士の大衆法律学 新・憲法のこころ第30巻『戦争の放棄(その26) 安全保障問題」(本体500円+税)、「いなべんの哲学」第1~16巻(本体1000円+税、13巻のみ本体500円+税)も発売中!
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