横浜弁護士会では、例年9月ころに全会員に向けて分厚いアンケート用紙を送り、法律相談や国選の希望を受け付けている。このアンケートを基に、事務局が翌年度の法律相談枠などを割り付けていくことになる。対象は、弁護士会の法律相談だけでなく、自治体の無料相談や国選、当番弁護士の担当など、極めて多岐にわたる。この割り付けで、翌年度の予定がだいぶ確定することになる。
いつもなら、11月はじめころには割り付けの結果が送られてくるのだが、今年は、いつまで経っても届かず、会員が顔を合わせると、「どうなっているんでしょうね」と声をかけあっている場面が目立った。
結局、割り付け結果が送られてきたのは12月半ばになっていたのだが、その結果は、ある意味で衝撃的だった。今年に比べ、法律相談の枠がごっそりという感じで、減ってしまったのだ。
中には、法律相談枠はほとんど無く、苦情の受付担当やら、法テラスの審査委員といったボランティア業務だけが連なっていて、余計やる気が失せた、と言う人もいた。これは、大変なことが起こっている、というのが、多くの弁護士の感想だったのではないか。
私自身も、法律相談は、法テラスの相談を含めても、1ヶ月に1件に満たない状況だ。登録20年の私でも、未だに、法律相談からの受任事件は、全体の売り上げのかなりの部分を占めている。この間口が狭まってしまうのは、正直なところきつい。まして、登録間もない若手の弁護士にとっては、生活に関わる大問題だ。
しかし、ベテランの枠を減らして、若手に相談枠を多く割り当てたという様子もない。どうやら、弁護士会は本当に法律相談の持ち玉が尽きつつあるようだ。12月に割り当てられていた弁護士会の相談も、申し込みが無く、結局キャンセルになってしまった。ただでさえ少ない枠がキャンセルになったときのショックは、今以上に重いものになるのだろう。
横弁は、来年、会館のリニューアル工事に伴い、法律相談業務を分離して、官庁街である日本大通りを離れ、人の乗降が格段に多い横浜駅の周辺に新たな法律相談センターを開設する予定だ。なんとか、この移設が、希望を繋ぐことになってくれればいい。か細い希望であるとしても、もう打つ手がないというよりは、どれほどましか。
来年は、多くの弁護士が、起死回生のきっかけになってくれればと、祈る気持ちで新センターの行方を見守っていくことになるだろう。