司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

   

   弁護士の質の低下は、「今、そこにある危機」なのだろうが、司法改革以前にも、怪しげな事務所というのは、無くはなかった。

 

   私の同期が修習終了後に入った事務所は、弁護士3名ほどの、90年代当初の当時としては中規模の事務所だった。検事志望だった私も、この同期にくっついて事務所訪問に行き、ご馳走だけいただいて帰ってきたのだが、見たところ、羽振りも良さそうで、事務員も適度に多くいて、問題もなさそうに思えた。実際、同期は他にも数カ所の事務所訪問に行った末に、この事務所に就職し、これも当時としては比較的高額の初任給をもらっていた。  

 

 彼が自分の事務所に疑問を持ち始めたのは、就職後、1月もしない頃だったという。この事務所にはパートナーはおらず、ボス弁が他の弁護士を雇って給料を出しており、事件の方針も、基本的にこのボス弁が行っていたのだが、ときどき、ボス弁から、訳の分からない指示がなされたり、急に方針が変わったりということが続いた。ボス弁は、週に何度か、自室に数時間こもり、この間、やたらと派手な格好をした女性がこの部屋に入っていくという。なんだか妙だなと思っていたところ、ようやく、古手の事務員から、ボス弁が占いにはまっていて、出入りしているのは占い師、これに毎月高額の顧問料が支払われていることなどを聞き出した。

 

   この同期は、あまりの気味の悪さに、さっさと事務所を変えてしまったのだが、その後、特にこの事務所が問題を起こしたという話も聞かなかったという(ボス弁とは、完全に没交渉になったようだが)。    副会長をしていた時期にも、弁護士がアル中で法廷に行かないとか、精神を病んで、奇抜な格好で法廷に出て行ったとか、色々な話しを耳にした。しかし、こうした「ブラック事務所」も、経営破綻したという話しはほとんど聞くことがない。弁護士が長期入院してしまったり、亡くなってしまったことはあっても、曲がりなりにも弁護士が働ける限り、そんな事務所でも、何とか経営を維持することはできるらしい。    

 

  一般企業でも怪しげなブラック企業が生き延びている例は多々あるのだろうから、こうした事務所が存続しているのが「社会常識」に反するとは言いきれないのかも知れない。それにしても、こうした事務所が商売としてやっていけること自体、驚きだ。事務所数が増えていくことによって、こうした事務所も、数の多さに紛れて、さらに延命していくという面もあるかもしれない。少なくとも、司法改革が、こうした問題事務所を淘汰する結果にならなかったことだけは確かなようだ。



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