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 家事調停官の任命を受けて、早いものでもう1ヶ月が過ぎた。家事調停官の一日は、午前9時30分の登庁から始まる。他の裁判官も、だいたいこのくらいに登庁する。登庁すると、すでに机の上には来週の事件記録が山と積まれている。人によって、記録との取り組み方は異なるようだが、私は、朝のうちに,おおむね記録の半分ほどにざっと目を通しておくようにしている。

 

 実務では、調停の場に裁判官が立ち会うことは少なく、調停委員の二人が事件を担当し、裁判官は、評議で呼ばれたら調停室に駆けつけるというのが普通だ。しかし、家事調停官は、一応、調停には立ち会うというのが原則とされている。

 

 実際には、事件数が多く、なかなか立ち会いは難しくなっていくようだが(そして、私の勤務する家裁は全国でも有数の忙しさで有名なようだが)、私は今のところ、気を遣ってもらっていて、まだそれほど事件数は多くないので、基本的に、調停室に詰めるようにしている。10時から12時は、こうして調停室で、調停委員と一緒に当事者と接して終わる。

 

 裁判所の昼休みは、12時15分から午後1時で、元々時間が短い上に、しばしば評議が長引いたりするので、休み時間に外出するのは難しい。朝のうちに買っておいたおにぎりを片手で頬張りながら、記録読みを続けるのが日常と化している。

 

 午後は、1時15分から調停に立ち会い、3時過ぎまで午前同様、調停室で過ごす。その後、裁判官室に戻り、5時までに翌週の記録を読み、手控えを作成する。

 

 この合間に、調書の決済を求められるので、その都度押印をしていく。調書は最終文書だから、普段の準備書面のように適当にチェックするという訳にはいかず、その都度、戸籍等と照らし合わせ、字の間違いがないかなど、かなり細かくチェックするので、どうしても時間がかかってしまう。

 

 大過なく過ごせれば、これから4年間、週1日、このような生活が続くことになる。任官前は、調停だけやる裁判官って、何をやればいいのか、暇をもてあましてしまうのではないかと、やや心配であったが、実際にやってみると、忙しいことこの上なく、仕事の内容も、刺激があって、実におもしろい。

 

 今更ながら、もう少し若いときに始めてみてもよかったと思う。若い弁護士には、是非経験してほしいと、改めて思う。



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