最近は、刑事事件は期の若い同僚に譲ることが多く、あまりやらなくなっていたのだが、久しぶりに当番弁護が回ってきたので、出動してみたら、同時に2件の刑事事件を抱えることになってしまった。うち1件は、逮捕段階の被疑者国選対象事件で、これも久々の国選受任となった(何しろ、最近は国選も取り合いで、受任希望のFAXを送っても、なかなか受任に至らないことが多く、FAXも面倒で返信していなかった。国選が取れたのは、ラッキーだったというところか。)。
公判請求されたので、本人の希望もあって、さっそく保釈を請求することになった。これも実に久しぶりだったのだが、せっかくなので、5月に運用が始まった全弁協の保釈保証書発行事業を利用してみようと思い立った。実は、保釈金の取りはぐれを回避するため、全弁協が回収のための保険をかけているのではないかという噂があり、利用して見て、ついでにその辺りも聞き出してみようと思ったのだ。
しかし、いざ調べてみると、現状では、保釈支援協会の保釈金立替事業に比べて、あまりにも使い勝手が悪く、途中で断念せざるを得なかった。この案件では、協力してくれる親族が遠隔地にいて、何度も往き来してもらうことができない。1日でも早く外に出たいという被告人の思いに触れると、とても悠長に郵便をやりとりしている暇などない。正直なところ、全弁協の事業に何らかのアドバンテージがあるとは思えなかった。理念は褒められて然るべきだとは思うが、やはり、留置場で1日1日を指折り数えて待っている被告人を前にすると、理念だけで、わざわざ不便な制度を使うことはできない。
横弁会員のメーリングリストでも、全弁協の事業は、あまり評判が良くないようだ。しかも、最近、終了した事件についてまで、書式が変わったから、本人から署名を取り付けて、出し直してほしいという「お願い」が送られてきたらしい。そんな無茶な、という感じで、これは、根本から考え直さないと、制度の維持も危ういのではないか。