例年、秋になると、弁護士会から、翌年4月から1年間の法律相談の割り当て表が送られてくる。昨年はやけに遅く、12月、それも年末ぎりぎりになって送られてきた。もともと私は副会長をやったときに法律相談や国選担当を減らしてしまい、それ以来回復していないので、A4の用紙1枚に収まってしまう、ごく薄っぺらな通知が来るだけなのだが、今回は、同僚の弁護士達も、みな、割り当ての少なさに驚いていた。例年ならA4で2枚あったものが、今年は1枚だけ。インパクトは大きい。
自分自身の例を見ても、副会長をやる前は、弁護士会の有料相談や市町村の無料相談、法テラスの相談を合わせれば、なんだかんだと月1回くらいは割り当てがあったものが、今は、2ヶ月に1回程度になっている。国選の割り当ても激減し、被疑者国選拡大の直後は月2回の割り当てだったものが、やはり、2ヶ月に1回程度にまで減ってきているのだ。なるべく若手に担当を回すということなのかもしれないが、それにしても、減り方は顕著だ。
横浜弁護士会は、平成20年に登録1000人の王台に乗った後、毎年100人のペースで人数が増えている。母数の激増が、ついに目に見える形で日常の業務にまで影響し始めているということだろう。
事務所の新年会でも、これはもはや、弁護士会にも法テラスにも頼ることはできないということで、意見が一致した。多くの事務所で、同じ議論がなされているのだと思う。これも時の流れというものだろうが、なんとも釈然としない。弁護士の法律相談が低調になることは、利用者にとっても、決してよいことではないのではないか。
テレビやインターネットで広告を打っている事務所に無料で相談に行けるのだから、よいのだ、という意見もあろう。しかし,弁護士会の法律相談は、担当者に研修を義務づけ、遅刻などしようものなら名簿からはじかれてしまうというように、かなり厳しいモラルが維持されてきた。弁護士のトレーニングの場としても貴重なものだったと思うのだが、結局はそうした機会が失われていくことによって、利用者の選択の幅も狭められることになってしまわないか。
弁護士会の相談も法テラスの相談も、ある意味では公共財の一つだといえよう。これらが構造的な理由から機能不全に陥ってしまえば、勢いを取り戻すのは難しい。今一度、意義を見つめ直すべきではないか。