ハラリ教授の文明論を長々と援用して著書の案内文のようになってしまったが、もともと司法書士制度、登記代書制度、代書制度の運命を文明論的に眺めて見ようというのが当初の計画であった。
そもそも制度というものは、それが慣習によるものであれ法律によるものであれ何らかの社会的必要があって作り出され成長し社会的環境の変化に適応し、その形を変えながら、やがて社会構造の変動によって存在の客観的基盤を失って自然に消えてゆく。そのような制度の消長、運命については、100年の尺度で見て行くのが正しいだろう。そもそも百年前に司法書士制度はあったのだろうか、百年後の司法書士制度はどうなっているのだろう。そのような歴史の地平から眺めれば司法書士である現在の自分の運命も見えてくる。
高齢者全員生活保護化が、近い将来確実に予想されることになった現在では、今更じたばたするよりも、ハラリ氏のようにNHKオンデマンドでコズミックフロントの宇宙の果てでも見ながら、宇宙進化論的視点で、遠くからトランプさんや安倍政治の運命を見物していた方が余程健康にいい。135億年前物質とエネルギーが現れた。45億年前地球という惑星が形成された。生命体が出現したのは38億年前であった。700万年前ヒトとチンパンジーが分かれた。30万年前ヒトは火を使うようになった。・・・・・1万2千年前農業革命が起こった。2千年前弥生人が大陸からやって来た。600年前、細川氏の阿波館を、細川氏が戦国の世の勝利を祈って勝瑞城と命名する(NHKのファミリーストーリーによれば北野タケシの父親の菊次郎というペンキ職人の苗字は勝端という)。
本日、2017年4月16日日曜日の、100年前は一体どうなっていただろう。1917年(大正6年)1月には日英同盟によりイギリスから日本軍艦の地中海派遣が求められ、堂々の日本軍艦は地中海に向け出発。ロシアで2月革命が勃発、5月堺利彦ら、メーデーでロシア革命支持を声明、一方、日本はイギリスと談合して、第1次大戦講和時には中国山東省のドイツ権益、赤道以北のドイツ領諸島を頂くことになった。この年、理化学研究所が設立認可される。10月にはロシアでレーニンの共産主義革命が成功した。
代書人の歴史は、これより古い。明治以前から代書屋はいて歴史的に見れば、代言人、弁護士よりは古い。文字を書けない人が多かったから、江戸幕府への人民、農民の陳情を代書する代書屋はいて、明治政府になっても代書人はそのまま存続し、かっこよく言えば明治政府の近代所有権制度の普及につき、それをサポートしたと言える。私所有権と契約観念の定着は遅かったから代言人、弁護士が登場してくるのは鹿鳴館時代の頃からである。今でもたまに見る古い戸籍謄本の達筆というか、難読の記録は、きっと役所に命令されて代書屋が書いたのに違いない。