司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 「ビッグバンによって生まれた無限のエネルギーは、過去、現在、未来にわたって、自然界の生物と無生物のすべてにかかわりつづける。137億年前にはじまった太陽、月、恒星を生み出した壮大な物語に比べれば、人類の歴史は取るに足りない、ほんの一瞬の出来事のように思えてくる」(137億年の物語 クリストファー・ロイド 文芸春秋社 P477)

 エピローグの一節だが、私の最近の気分にぴったりあった言葉で心地よさを感じる一節だ。「地球史の24時間時計で、真夜中まで20秒たらずの時点で始まった人類の歴史に、どのような意味があるのだろう。そして真夜中まであと0.1秒という、人類の歴史のほんの端っこで起きた、文明の誕生を、どうとらえるべきだろう。・・今、地球の生態系は、増えすぎた人類の重さに耐えかねて、土台から崩れ落ちようとしている」(前掲書 P477)

 崩落感というのはある。社会やこの国への無力感も感じる。生きている一人一人の人達は、狂人でない限り日々合理的な選択をしながら日々の暮らしを生きている。国家や社会がどのようなものであれ日々の生活においては、狩猟採集の新石器時代から人間一人一人は合理的な選択をして生きてきたしこれからも生きて行く。時代時代の国家や社会の姿は、そこに暮らす人々の毎日の合理的選択の結果なのである。

 まじないや迷信を信じてシャーマンからありがたく薬草やお守りを頂くのもその人にとっては合理的な選択の結果なのである。野田総理大臣もそのような無数の市民の選択の集合的結果の産物に他ならない。その結果の姿が私にとりどんなにけったいなものであろうと、その結果を導き出した集合的選択の中には、消極的であれ積極的であれ否認であれ私の選択も含まれている。そのような合理的選択の集合が作りなしてきた一つの時代が今終末を迎えつつあるように思う。

 終末を迎えるという事は、新しい時代、それは地獄のような時代であるかもしれないが、合理的選択の集合の結果、いずれにせよ今までとは質的に異なる新しい時代がやってくるのだと私は思う。「経済成長が永遠に続くという信念は、資源がいくらでもあることを前提としている。・・・安いアジアの労働力が、先進国の快適な暮らしを支えるという状況は、あとどれだけもつだろう」(137億年の物語 P474)。

 こんな心配にロイド氏は「唯一、実現可能で、理にかなった解決策は、人口がこれ以上増えないよう慎重に管理して、エネルギーをあまり使わない昔しながらの生活にもどる」ことを勧めている。「ダーウインの結論は、人類は、あくまで自然界の一部として進化してきたというものだった」(137億年の物語 P474)。人間の利益のために自然界を征服するというのが欧米人の考え方の基本にあり、その価値観を肯定的に模倣してきたのが近代アジアであり、明治維新後の、今日にまで続く日本の知性だった。さーてと・・。



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