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 〈税金を毒にしてはならない〉

 日本国憲法においては、国民の代わりに税金を徴収し、これを使用するのは国会の監督の下に内閣が行うことになりますが、その時々の内閣の税金の徴収の仕方及び税金の使い方は、まず国会でしっかり審議し、内閣に指示し、内閣を監督しなければなりません。

 ですが、国会ばかりでなく、主権者である国民も、適切に国費の支出と債務の負担を審議し、議決ができる能力のある国会議員を国会に送り出さなければならないのです。能力のない国会議員を選んではならないのです。

 安倍政権下における米国トランプ政権からの大量のステルス戦闘機購入などに対し、国会の監督能力は皆無だったと言っても過言ではありません。その本当の原因は、国民の国会議員の選び方が杜撰だからです。いいかげんな選び方をしているからです。猛省が必要です。

 税金の役割は、重大です。税金の使い方によっては、薬にもなりますが、毒にもなります。薬になるか毒になるかは、そのまま国民の生命、幸福のためにプラスになるか、マイナスになるかということです。つまり、税金の使い方は、国民にとって死活問題となります。

 国民は、その国費の支出と債務の負担が「国民の生命と幸福を守ることになるかどうか」という秤で計れば、国の税金の取り方、借金の仕方と税金、税金の使い方の当否は簡単に判断できます。国会議員は勿論ですが、主権者である国民一人一人も、この秤を持たなければないのです。

 国民の生命、幸福にとって、プラスになるように税金と国の借金が使われて、はじめて日本国憲法において、税金と国の借金の役割を果たしたことになるのであり、それに役立たない税金の使い方は、無駄使いであり、国民の生命、幸福にとって、マイナスとなる使い方は、税金と国の借金を毒にしてしまうということになります。

 私たち日本国民が競争原理の中で、旨い、早い、安いを目指し、身を削って稼いだカネの中から収めた税金が無駄に使われたり、毒となるような使われ方をされるのは、税金と国の借金の役割に逆行するものです。絶対に許してはなりません。

 安倍政権下における「桜を見る会」の税金の使い方や、自民党から選挙直前に一人の立候補者にわたった1億5000万円という税金の使い方、新型コロナウイルス対策費の現状での具体的な使い方等の中にも、「アベノマスク」のような無駄使いではないかと思うものも少なくありません。しかし、ステルス戦闘機購入資金として、多額の税金が、トランプ政権下のアメリカに支払われたのは、日本国民の生命、幸福のマイナスになるのみならず、人類の生命と幸福になるもので、猛毒です。絶対に許してはならないことです。

 日本国民の納めた血税を、毒にしてしまう行為は絶対に阻止しなければなりません。戦力保持は、憲法が禁止しています。戦力は、人の生命と幸福を奪う道具です。戦力のため税金を使うことは、税金を毒とすることです。
  

 憲法を国民生活の中で役立てるためには、このような政権の暴挙に対し、国民ははっきり異議をとなえなければならないのです。


 〈国民がまず監督すべき〉

 日本国憲法第7章財政の章は、第83条で「国の財産を処理する権限は、国会の議決に基づいて、これを行使しなければならない」と定め、第85条で「国費を支出し、又は国が債務を負担するには国会の議決に基づくことを必要とする」と定めています。

 まず、国会がしっかりしなければならないのです。国会議員が税金の役割をしっかり認識し、税金の使い方、借金の仕方などを議決しなければならないのです。

 ですが、国会議員は、タレント議員などに見られるような勉強不足だったり、大臣になりたいなどという思惑で、その指名権を持つ首相の顔色を伺う者が多かったりで、まともな意見が言えず、首相の方針に反対できずにいる者が多くみられます。このような国会では、内閣の思いに引きずられ、内閣の税金の使い方にお墨付きを与える役をしているに過ぎない感じさえしてなりません。言葉は不適切かも分かりませんが、国会は共犯者となっているようにも見えてしまいます。

 主権者である国民が、監督しなければならないのが、日本の現在の状況です。日本国民は、税金の役割をもう一度よく見直して、税金が「国民一人一人の命と幸福のために使われているかどうか」を見極めなければなりません。そして、選挙だけではなく、デモやツイッターデモなどのカウンターデモクラシーを活用して国会と内閣を監督し、税金の役割を全うさせなければならないのです。

 新型コロナウイルス問題で、その対策費が膨大にかかることが確実である一方、税金の減収も予測される今の状況の中で、この問題を見直すことは、有意義であると確信します。 

  (拙著「新・憲法の心 第28巻 国民の権利及び義務〈その3〉」から一部抜粋)


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