司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

旧司法試験の問題点として、かつて盛んに言われていたことのひとつに、受験期間の長期化とそれに伴う合格者の高齢化、ということがあった。特に、検察官のなり手が減っていた時期は、合格年齢が高すぎることが任官への障害になっているというような指摘もなされていた。

 確かに、私の周りにも、10年も受験生活を続けているというような人は何人かいたし、そういう人が10年目に司法試験に受かっても任官することはまずなかった(もっとも、同期には40才を過ぎて検事になった人もいたので、まったくありえないケースではなかった)。

 しかし、私にしてみると、司法試験が難しすぎるから、若い人が合格できない、合格者が高齢化している、と言われても、当時から、まったくピンと来ないというのが、正直なところだった。

 私自身は、大卒後、一旦就職したので、司法試験に合格したのは26歳のときだった。正確なデータは持ち合わせていないが、当時としては、大体合格者の平均年齢くらいのところ、やや平均より下、という辺りにいたように思う。

 だから、周りは同じ年代の人ばかりなのだろうなと思っていたのだが、いざ修習生になってみると、自分よりも数年若く受かっている人が圧倒的に多い。印象としては、卒業後1年くらいで合格する人の層が一番厚いところだったのではないか。大学院に残った研究者の卵たちに比べたら、ぜんぜん若いじゃないか、という感じで、大いに驚いた記憶がある。

 同期の中にも年配の人は何人かいて、平均年齢を押し上げていたようだが、あくまでも少数派だったし、会社勤めをした後で受験に参入したという人も多く、司法試験が難しすぎて受験期間が長くなり、合格者全体が高齢化しているのだというような議論は間違いなく事実に反すると痛感した。

 今に目を転じると、新司法試験の合格者平均年齢は、大体、28から29歳くらいというところだろうか。一概に比較することはできないが、少なくとも、旧司法試験に比べて、稼働開始時期が格段に若返っているとは言えないようだ。法曹養成制度を大幅に組み替え、受験回数の制限まで設けた結果であることを考えると、何とも複雑な思いに捕らわれる。

 そもそも、合格者の高齢化という問題自体が存在していたのか、疑問だ。少なくとも、もはや検事任官者の不足を嘆く人はいない。せめて、受験回数の制限という、実に余計なお世話だけは、もう止めてもいい時期ではないのだろうか。



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