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今年、横浜弁護士会は、長年続いてきた「弁護士フェスタ」を取り止めることにしたらしい。

 「弁護士フェスタ」は、昭和50年から続けていた「県民集会」を平成14年に改名したもので、弁護士会と神奈川県民との交流を促進する目的で、毎年続けられてきた。例年、国家秘密法や裁判員など、その年のトピカルな法律問題を取り上げた劇を上演したり、「横浜弁護士会人権賞」の授与式を開いたりと、それなりに盛大なイベントとなっていた。

 「弁護士フェスタ」中止の決定は、総会や常議員会で決まったものというわけではなく、理事者会で決められたもののようで、このことがまたしても、会内で波紋を広げている。弁護士会は、年に2回ほど、各委員会の委員長と副委員長が一堂に会する正副委員長会議を開いているが、噂だと、どうも、その場で会長が「『弁護士フェスタ』を中止することにしたが、何か意見がありますか」というようなことを述べたところ、各委員長、副委員長らの逆鱗に触れたらしく、ヤジが飛び交うような大変な騒動になってしまったらしい。

 もともと、理事者会の決断は、「弁護士フェスタ」の開催が事務局に多大な労力を貸しているということで、これを軽減するためのものだったようだが、そうはいっても、委員会によっては例年かなりの労力を割いて協力をしてきたわけだし、何より、事前に何の相談もなしに中止を決めるとは、何ごとだ、という意見が大勢だったようだ。

 とはいえ、その後、会員向けに弁護士フェスタ中止の正式なファックスが送られてきたので、もはや既定事実なのだろう。

 私自身は、副会長時代、実際、事務局の大変な様子を目の当たりにしてきたこともあって、フェスタ中止は、いつか決めなければならないことだろうなと思ってはいたが、よりによって、えらく上から目線というか、ケンカ腰の決まりように、残念な思いを禁じ得ない。

 「弁護士フェスタ」は、あまりビジネスとは直結しない、どちらかというと弁護士のプロボノ面を県民に知ってもらうという色彩が強いイベントで、金儲けだけではない、そうした弁護士活動に注目してもらう機会も大事にしていかなければならないのではないかと思う。

 この流れは、弁護士会が商売っけばかりを強調した団体に堕していくようなものではないのか、注目していく必要があるだろう。



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