司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 私は、学部の学生だったころはマスコミ志望で、司法試験など、人間が受かるものとは思っていなかった。一度就職してから、仕事を辞めて司法試験を目指すことにしたので、時間的にも金銭的にも、相当切羽詰まった状態での受験を余儀無くされた。多分、時間も親の援助も潤沢な学生時代に受験を始めていたとしても、尻に火がつかない状態でダラダラと時間を浪費していただろうという気がするので、追い込まれたことがむしろ結果としては良かったと思うが、当時は、20台後半を迎えてまだ自分の未来が五里霧中だったわけで、実に穏やかでない日々だった。

1年でも早く受からなければならないと思っていたので、バイトは控えざるを得ず、かといって親にも過大な負担をさせるわけにはいかず、貯金とにらめっこしながら、予備校に通うという綱渡りな毎日だった。

当時から、予備校の弊害というのがうたわれていて、実際、普通に予備校に通おうとすると、かなりの出費を迫られた。最低限、論文の答案練習だけは受けておきたいし、民訴や手形法のように、学生時代、ほとんど理解していなかった科目は、講義も受けておきたい(試しに、母校に潜り込んで、学部の授業を聞いてみたりもしたのだが、全く受験用ではなく、早々に時間の無駄と悟った。

 いろいろ言われても、やはり、予備校は高い金を取るだけのことはしているなと妙に感心したものだ。)。択一が近づくと、やはり、模試も受けておきたくなり、出費はかさむ一方だった。

今回、改めて、少し詳しく計算をして見たところ、2年間の受験生活で、予備校代は80万円近くかかっていたことが分かった。純粋に受講料だけで、交通費などは考えていない。答案練習は、受験サークルに入れてもらったりしたので、普通の人よりは、出費は少ない方なのかもしれないが、20台半ばのフリーターにはきつい出費だったし、合格があと1年遅れていたら、受験を続けられたかどうかも分からない。

ロースクールの1年分より安かったわけだが、それでもあれだけの貧窮生活を迫られたということは、今の時代だったら、そもそも、私のような立場の者は、受験など決断しようもなかったのだろう。まだ恵まれていたのだと痛感するが、ああした困窮状態を経験したことのない法曹ばかりになってしまうとしたら、やはり味気ない。



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