ついにというか、ようやくというか、横浜弁護士会は、120年続いた看板を下ろし、平成28年4月から、神奈川県弁護士会を称することになった。個人的には寂しい思いを禁じ得ないが、支部の会員が大幅に増え、もう何年も前から会名変更はいずれ時間の問題だと言われていたわけで、時勢というものだろう。大方の会員も、結論には納得しているように思う。
ところで、この間の経緯は、会社の内紛劇をみるようで、単純に興味深かった。一言で言えば、会名変更派の作戦勝ちということになるのだろう。これまで、会名変更が議題になったのは、いずれも、時の執行部が議題として提案し、臨時総会を開催して可否を問うというパターンであった。今回は、そうではなく、通常総会で、しかも、少数会員の議案提出権を利用した直前の上程劇であって、執行部にとっても会名変更反対派にとっても、全く予想していなかった展開だったろう。
会則では、少数会員は、総会の2週間前までに議案を提出することができるということになっており、今回は、休日をにらんで、ぎりぎりの絶妙な線で議案が提出された。その後、即座に、支部の会員から委任状の依頼が来たところをみると、すべてあらかじめ綿密な計算の下で、組織的に準備されていたことは明らかだろう。
実際、前回の臨時総会と違って、反対派には運動を盛り上げる時間は全くなかったようで、反対の気運が盛り上がる気配もないまま、総会の場でもさほど議論が紛糾することもなく、あっさりと成立したようだ(私自身は、出席できなかったのだが)。
反対派の中には、歯がみして悔しがっている人もいるのだろうし、抜き打ちだと非難する人もいるようだ。しかし、私も含め、大半の会員は、決まった以上、もういいんじゃないか、という雰囲気ではないか。私などは、前回の臨時総会で、反対派の一部が、賛成派の動きを「タリバンのよう」と評したり、委任状集めの経過を重箱の隅をつつくように非難したりするのをみて、いずれしっぺ返しを食らうのではないかと思っていたので、まあ、見事に敵をとったなと、感心してしまったくらいだ。
今のところ、来るべき時が来たのだろうなという、妙にさばさばした感じでいる。とはいえ、何となく、神奈川よりは横浜の方が、格好いいんではないかという思いは、たぶんこの先も変わらないと思う。要は、その程度のものだということだ。