司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

横浜弁護士会は、7月をめどに、「小規模事業者顧問弁護士紹介制度(E-Comon)」を立ち上げるようだ。人ごとのように書いたのは、これを知ったのが新聞報道によったからで、私の知る限りでは、これまで、この制度について、会員向けにアナウンスがされたことはないはずだ。これが今、横弁会員向けのメーリングリストで、激しい議論を呼んでしまっているのだ。

E-Comon(イーコモン、と読むようだ)は、法律相談センター運営委員会が準備をしてきたものらしく、「八百屋さんや賃貸マンションのオーナー」といった零細企業にも顧問弁護士を雇ってもらうため、個人事業主や、フルタイムの従業員が5人以下の法人を対象に、月額5千円以下の顧問料で、弁護士会が会員を紹介するというものだ。格安の反面、顧問料の範囲内でできる相談は、1ヶ月に3時間以内とされているが、契約書の点検や、書面の作成もやるということらしい。

 これに対して、「弁護士会がダンピングを率先するのか」「会員の同意なしに独断専行するのはおかしい」といった反対の声が上がっている。

確かに、唐突に出てきた報道で、私も驚かされた。どうやら、執行部とマスコミの懇談会の中で話に出たのが、予想外に大きく報道されてしまったというのが顛末のようだが、会を二分するような大ごとにならなければいいなと、かなりハラハラして見守っている(多くの会員はそんな立ち位置ではないか)。会側の説明だと、試験的にやるもので、多分、そんなに急激に需要が殺到するようなものでもなさそうなので、当面は、全会員を紹介の対象とはせず、センターの委員が担当して行く予定のようで、これもまた、反対派の懐疑を招いているようだ。

 このご時世に、毎月5万円の顧問料を払ってくれる零細企業がそうたくさん存在するとは思えないので、特に若手のために、間口を広げようという試みは分かるのだが、この格安顧問弁護士がスタンダードになってしまうと、多くの会員がとてもやっていけない、というのも正直なところだろう。

 なんにしても、全国紙にデカデカと出てしまった以上、今更、会員の反対があるのでやっぱり止めますとも言えないだろう。成り行きを見守るしかないのだが、何だか、脱デフレには逆行しそうな話だ。



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