「弁護士と闘う」という、あまり愉快ではないタイトルのホームページがあって、これが結構人気のようだ。
平成20年に副会長になった直後、横浜弁護士会の弁護士に不祥事があって、これが報道されてしまったのだが、このときも、この「弁護士と闘う」サイトを管理しているという人から、理事者室に直接電話がかかってきた。
この日、私は、たまたま日直で、苦情対応ということで、電話に出ることになってしまった。正直なところ、「『弁護士と闘う』というサイトを管理している者ですが」と言われたときは、これは、何時間も応対しなければならないのかと、暗澹たる気分だった。幸い、管理人氏は紳士的で、特に激高することもなく、淡々と抗議を述べられていたので、こちらもできるだけ丁寧に対応したつもりだ。
この電話のやりとりは、ほぼリアルタイムで、「弁護士と闘う」サイトに掲載されており、私の名前もしっかり載せられていた。事務所名ばかりか登録番号まで載っていたのには、驚かされた。
こちらも緊張していて、なるべく丁寧にと思っていたのが良かったのか、サイトには、横浜弁護士会の対応は他の○○弁護士会よりよっぽどましだった、というようなお褒めの言葉(たぶん、そうなのだろう)もあって、他の理事にずいぶん揶揄された。喜んでいいものやら、未だに複雑な心境だ。
管理人氏自身は、かつて、当事者として、弁護士から被害を受けた人だということだが、それにしても、ある私的な職業を取り上げて、これと闘うというホームページを立ち上げ、しかもこれが支持されるというのは、どういう時代なのかと思う。
政治にしろ、報道にしろ、最近の日本人は、ネット社会の拡大とともに、やり玉に挙げる対象を探し出しては、袋だたきにして、溜飲を下げる、という妙なカタルシスにどっぷりとはまりすぎているような気がするが、弁護士も、そうしたやり玉としては、格好の相手なのだろう。
しかし、今の弁護士も、未だに、やっかみ半分でつるし上げにされるほど、世間からは、魅力のある仕事として認知されているということなのだろうか。それはそれで、さらに複雑な感情を禁じ得ない。