今年の司法試験合格者は1810人と大幅な減少を見せた。日弁連が求める1500人のレベルにはまだほど遠いが、ここ数年、合格者がコンスタントに2000人を超えていたことを考えると、まずは正常化の第一歩として、歓迎すべきだろう。
とはいえ、それでも毎年1000人以上が弁護士となるしかないのであろうから、これで法曹界の苦境が大きく変わるわけでもない。特に、ロースクールは、今後、多くの学校が存亡の危機にさらされていくことになる。これが終わりの始まりとなるのか、注視していく必要があろう。
神奈川県では、横浜国大が大健闘を見せた一方、神奈川大学は合格者ゼロと、実に厳しい結果だった。横浜弁護士会からも、神大にはかねてから教員を送っており、聞き及んだところでは、単に司法試験合格を目指すだけではない、全人格的教育を目指して、ユニークな教育をしているという。教養を育むには時間がかかるものだから、どうしても、年によって合格者数が変動することは避けられない。にもかかわらず、文科省は、合格実績に応じて補助金を調整し、最終的には、「低レベル校」の統廃合へと誘導していく方向のようだ。
まったく、何のためにこのような制度を組み立てたのか、改めて不思議でならない。
今年は、予備試験組のアドバンテージも顕著だった。短答式に至っては、予備試験組の合格率は99%、実に一人しか落第者がいなかった。最終合格率も3分の2近くに及んでおり、彼らの就職面での優位は揺るぎがたいだろう。改めて、ロースクールは、ここから数年が、存続の分水嶺となるのではないか。