司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 とうとう、懲戒請求の申し立てを受けてしまった。10年以上前に和解で終了した事件の相手方が申し立ててきたもので、その後、私の依頼者が和解条項を履行しないのが悪いという、とばっちりもいいところの懲戒請求である。明らかに言いがかりだと思うので、綱紀委員会の段階で終了するだろうと思ってはいるのだが、まったくもって、気分が悪いことこの上ない。

 
 これまでも、「綱紀委員全員」を対象とする懲戒請求があって、私も対象になっていたことがあるので、この手続きは初めての経験ではない。しかし、名指しされて罰せよと言われるのはもちろん初めてで、何とも言えない、理不尽さを感じざるを得ない。

 
 こうした濫訴的懲戒請求については、弁護士会でも、何とか、より手続きを簡素化してはねのけることができないのか、しばしば意見は出るのだが、なかなか実現しない。結局、明らかに言いがかりに過ぎない膨大な量の懲戒請求が繰り返され、一つ一つ、まるで腫れものに触れるような扱いで、何ヶ月かかけて、棄却していくという、実に無駄なことが延々と続いて行くのだ。これに付き合わされる弁護士は、たまったものではない。いくら言いがかりであることがはっきりしているとはいえ、弁明の手続きはしなければならないし、何より心に重しがかかった状態が何ヶ月かは続くので、とても滅入ってしまうのだ。

 
 弁護士自治を適正に維持するために、綱紀懲戒は厳正になされなければならない。だが、だからと言って、言いがかりに過ぎないクレームについて、お客様扱いをして、いちいち取り合う必要などないし、そんなことを続けていたら、それこそ弁護士自治の自殺につながりかねない。

 
 濫訴的懲戒請求については、即座に棄却することができる枠組みを作るべきであるし、明らかな言いがかりで懲戒請求を申し立てた者に対しては、弁護士会が虚偽告訴罪による刑事告発をするなど、断固たる措置を執るべきだ。しないだろうけど。



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