司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 空港の外は、薄暗く、激しい大粒の雨が滝のように激しく降っていた。この悪天候の中、相手の弁護士が、わざわざ空港まで、足を運んでくる目的は何かとふと考えると、重要な交渉事かと真っ先に感じとった。

 連絡後、空港のロビーで待ちつづけること20~30分、どしゃぶりの中、小走りで、その国選弁護人の女性はやってきた。

 軽く頭をさげ、挨拶をした後、私たちは、空港内の2Fある、「カフェ、テリア」(仮名)の喫茶店へ向かい話をすることにした。

 フライトの時間もあり、限られた時間の中で、手短に事件の詳細と相手側の率直な意見を聞くことにした。

 ある程度は、検事や警察等から話は断片的に聞いていたため、全体の大筋は分かっているつもりだったが、私自身、再度、状況整理するためと被害者側と加害者側の言い分についての確認の意味を含め、彼女から、事件に関する話の詳細を伺うことにした。

 余談だが、今まで私の人生で弁護士先生との接触は「縁もゆかりもなかった」がゆえに、緊張を覚えた。それゆえ、この場をもっての話し合いはとても重く感じていた。推測するに、この刑事事件を早期にけりをつけるための、いわば「駆け引き事」にきたのだろうと。法的な言葉を並べ、何もわからないまま、いいくるめられるかもしれないと思い、こちらも先手を打ちガードを固めないといけないと感じていた。

 弁護士の先生は物腰が低く丁寧な口調で、話を切り始めた。だが、イメージは少し違っていた。私がもつ弁護士のイメージは「高飛車」という古いイメージを吹っ飛ばした。

 「あの、この事件の件で、被害者の方には、申し訳なく思っています、それで、・・・今、・・・・」。

 その時、私自身は、その話の腰を折るかのように切り返した。

 「まず、私の質問に答えて下さい」

 今、振り返ると、半ば強引だったかもしれない。昨日会った矢吹検事(仮名)から言われた、相手方の国選弁護人にはたくさん不明な点は聞け、どんなことでも答えてくれるはず、という言葉に背中を押された感じだった。

 彼女は事件の内容を話し出した。犯人の窃盗発端状況から検察から聞いた内容と照らし合わせることを意識しながら耳を傾けた。内容は、被告人の介護ヘルパーの女性が、父親のつり銭に手をつけ、借金返済、男に貢ぐための金、ギャンブル等での浪費、――。

 私は、話に出てきた「男」について聞いてみた。男の名前、職業、歳、いくらまで男に金を貸したのかまでを知りたかったのだ。彼女は、さくさくとこたえてくれた。男の名前、倉田茂人(仮名)、職業・夜勤勤務(セキュリティ関連会社)、年齢・26歳。被告人は50万円くらい男には、お金を貸していたと。被告人の女性が「その男とは、まだつきあっているのですか」と、尋ねると、既に男と別れており、新たな男が別の県にいると言った。

 借金については、どのような借金を背負っていたのかなども聞いた。学習教材かなにかの借金があり、また、カネをギャンブルに湯水のように使い、浪費していたという話だった。

 話を聞いて、驚いたこともあった。

 被告人島原(島原)の親は、社会福祉法人には「ご迷惑をかけた」と言い、謝罪にすぐ行ったことを噂で聞いていた。そのことをこの国選弁護士は知っているのか、そのことをストレートに聞いてみた。なぜ、被害者である我が家に来て、まず謝罪しないのか、そのことが社会通念に照らしても、また、彼らの立場としても、どうしても納得いっていなかったからだ。そこを、彼らの弁護士はどう思うのか、どう認識しているのかが、知りたかった。

 この時の質問に関して聞くと、彼女は何か不思議そうな顔してこちらをみた。自分自身と社会福祉法人との関係はないと、否定する感じでこちらを私を見ているように思えた。本当に何もしらないのかと、私自身、彼女を少し疑った。

 そんな眼をして私が彼女をみていると、彼女は、こう言った。

 「私が働いているヘルパーさん方々に、島原(仮名)被告人の件で、署名運動したのですが、だれも署名してくれませんでした」

 私は、それが国選弁護人である彼女が、裁判官の心証をよくするための行動だったんだと思った。話を逸らしたつもりだったかもしれないが、冷静に国選弁護人の言う言葉から、被告人には、人望はないと教えてもらったような気がした。しかし、なぜこんなことを私に話すのだろうと疑問にも思った。

 私は国選弁護人の彼女に、前記した「謝罪」に関する疑問をぶつけた。彼女は謝罪の一件を知っていた。そして、驚くべきことを口にした。実は、社会福祉法人の人間が、被告人の親に、事件発覚後、我が家に謝罪にいくことを、止めさせたというのだ。「なぜ?」という問いに、国選弁護士も、「分からない」とこたえるだけだった。

 気持ちの中に闇が広がった感じがした。このような社会福祉法人の行動が全く理解できなかったという以上に、何か隠しているという強い不信感が頭をもたげた。

 「一般常識が通じない相手かもしれない」

 そんな気持ちが過った。 



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