司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 刑事裁判の「15万円」判決は、我々にとって辛い現実だった。この判決を、あらゆる側面から検証し状況を打破する可能性について考えた。

 まず、客観的に問題点を洗い出すため、最初に、友人知人には、私が被害者の家族であることを伏せ、あくまでも、「ある県で起こった事件で、気になることがある」と切り出し事件の詳細を話し所見を求めた。はじめは、真剣に聞いてもらえなかったが、話を繰り返すと知人たちも真摯に答えてくれるようになった。

 また、仕事先のお得意様に幸いなことに、法曹界関連や労務関連の専門の方々が存在したため、事件に対する貴重な意見を聞く事ができた。客観的な意見を聞くため、私の父が被害者である事を隠しながら。

 意見はさまざまだったが、悪いのは、「ヘルパーのみではないか」「15万円窃盗事件だと、雇用者の監督責任まで問うのは難しいのでは」という意見もあった。

 検察は、15万円窃盗の一件のみを立件し、余罪については「悪性の証明」という漠然としたものだったため、認定された被害額が小さいだけに、この事件は一般的には「万引きに毛が生えた程度の認識」と感じた。

  「検察のシナリオ」は、たとえそれが事件の真相とかけ離れていても社会に与える影響は絶大だという現実を肌で感じた。それだけに、刑事裁判中、裁判所で検事の口から出た「800万円相当窃盗されている」という検事の言葉が頭を離れなかった。被害額を800万程度と推定している検察警察の現場の認識と上層部の作るシナリオには開きがあるとしか思えなかった。

 検事や警察官の言葉を裏付ける刑事裁判記録が、喉から手が出るほど欲しかった。民事で、事件の真相に迫るには、この部分が重要な鍵になると感じた。

 一方、兄がニューヨークから帰国し真相究明のため調査に飛び回っていた。その矢先、ある町議会議員が被告人の背後で動いているという情報が飛び込んできた。

 兄は、真相の詳細をつかむため地元の方に話を聞いてまわったところ、事件発覚後、ある町議会議員が、犯人側の利益を守る立場からいろいろ指示を出していたというのである。

 なぜ、議員が動くのか疑問が湧いた。事件発覚後から、何か不可思議な力のようなモノなものを感じていたが、ようやくぼんやりとそれが見えてきたような気がした。その議員の行動は、被害者を守ることより、自治体組織を守る動きに思えた。それが真実なら被害者家族である我々にとっては、悲しいことだった。

 やはり、町が母体である社会福祉法人。町議会議員の動きから、事件の火消しを町全体で行っていると感じた。「このままでは、父が危ない」と思った。程なく私たち家族だけでなく親戚までもが、この理不尽な動きに巻き込まれることになる。



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