司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 2004年6月9日 第二回目の刑事裁判が開かれた。

 当時、なんとしても、この裁判には、行かねばという気持ちもある中、仕事、家庭(生後半年の子供の世話)等もあり、身動きが厳しい状況だった。

 同時に、私の脳裏のよぎったのは、前回のようにボツボツといった、朗読調の一回目の公判だった。何を言っているのか分からない傍聴のために、東京・九州間の高い往復交通費(飛行機代)を支払い、傍聴する価値があるかどうかも、正直迷う理由だった。

 ふと、先日の矢吹検事(仮名)に会ったとき、最後にかわした会話のことを思い出した。彼からは、「次回来るより、最終公判には来てください」と、言われたのだった。結局、その言葉に、後押しされ、複雑な気持ちはあったが、今回は傍聴出席を見送ることにした。

 しかし、当日、私はこの第2回公判の行方が気になり、裁判が始まる前にも、何度も姉に電話をし、雰囲気や状況を尋ねた。前回同様変わった感じもなく、刑事裁判はスタートを切ったという。

 しかしながら、前回と一変し、あの穏やかなイメージだった矢吹検事が豹変したかのように、攻撃的な姿勢で凄まじく臨んだという。一方、相手方の国選弁護人は、「はい、はい、」と特に反論はなく、この事件を認めるかとのように、うなずいていた、という報告だった。

 また、なぜか、法廷で被告人の母親も尋問されたという。質問内容は、犯人の私生活に関するお金の流れだった。検察側は、最初は、いくら窃盗したかと尋問。母親は「100万円くらいと警察から聞いている」と答えていたが、それから詳しく検事が、被告人の通帳をもとに、お金の流れを追及。「最低でも、130万円は、間違いなく盗んでいるんですよ」と言うと、被告人の母親は、下をむきながら、うなずいたということだった。

 さらに、追い打ちをかけるように、矢吹検事は、被告人の母親に「もし娘が、500万円窃盗していたらどうしますか」と、声を荒げて質問。犯人の母親は、うつむいたまま、「考えられません」と言ったという。

 正直、矢吹検事の口から出た「500万円」という額は、われわれが出していた調査中の概算数字を指摘くれたものと思った。あの時検事さんと、話したのは無駄ではなかったと実感できた。

 さらに、「謝罪」と「弁償」について突っ込んで聞く矢吹検事と母親の間で、こんなやりとりがあったという。

 矢吹検事「社会福祉法人の方から、弁償のほうについて幾ら出すとか、話はなかったですか」
 母親 「いや、なかったです。」
 矢吹検事「娘さんがしたことだから、その家族である証人たちが何とかしなければならないと、こう思っているからですか」
 母親 「はい」
矢吹検事 「もう、謝罪はしたんですか?」
 母親  「社会福祉法人には、迷惑をかけたため行きました」
 矢吹検事 「どうして、被害者にいかないのですか」
 母親  「被害者宅は、今怒っているため謝罪に行くのはやめなさいと、社会福祉法人に指示されました」

 やはり、社会福祉法人が「謝罪」に行くのを止めたのだ。

 一方、被告人の介護ヘルパー島原信子(仮名)への尋問では、まずは、つり銭泥棒からはじまり、その使途についてだった。使い道は、男のサラ金返済、豪遊するためのパチスロ代、車のローン、携帯代、ゲーム代で、実家の家には、食事代として入れたことはなかったとのことだった。

 どうも話を聞く限り、検察側は、被告人本人よりも、彼女の母親をメインに、突っ込んだやり取りをしたような印象を持った。そして、同時になぜか、私は、この時、私が空港であの国選弁護士と会う前に、ニューヨークの兄を通じて、メールと電話で姉宛に来た例の一通の書面から始まった「100万円を用意している、謝罪したい」という、被告人側の要望とその歪なやり取りを思い出していた。



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