司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

神奈川県の横浜で開業する一地方弁護士が、日々の生活から伝える、司法改革の「肌触り」。
1964年2月21日生まれ。1987年早稲田大法学部卒。1993年検事任官(東京地方検察庁)。1994年 退官。同年弁護士登録(横浜弁護士会)。1999年早稲田大大学院法学研究科修了(公法修士)。2001年木村・林・工藤法律事務所(現・横浜ユーリス事務所)設立。2008年横浜弁護士会副会長。そのほか横浜国立大学非常勤講師、交通行政市民オンブズマン代表などを務める。著書に「科学的交通事故調査」(共著・日本評論社)など。
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 私は、昭和62年3月に大学を卒業し、平成2年に司法試験に合格した。そのため、ちょうど、バブルの恩恵にはあずかっていない。むしろ、世の中の浮かれた気分を、受験生として、指をくわえて見ていた口だ。司法試験の受験生の中にも、株を運用して高級車を買ったという人がいたくらいだから、改めて、どれだけ金が余っていたのか、今では信じがたい思いだ。

 このころの弁護士の話を聞くと、毎日のように銀座のクラブに通っていたとか、顧問先からお車代の札束をもらったとか、とても信じられないことばかりだが、実際、このころの副会長経験者の多くが退任後に別荘を買ったりしていることを考えると、本当にそういう時代だったのだろう。羨ましい限りだ。

 他方、平成3年に修習生になってからは、あちこちでバブルの後始末が取りざたされていた。弁護士の世界も例外ではなく、むしろ、お金があると思われていた業種だけあって、投資に失敗し、えらいことになっている弁護士の噂が、修習生の耳にさえちらほらと入ってくるようになった。

 特に多かったのは、不動産投資の失敗例だった。都内の古いワンルームマンションを何千万円ものローンを組んで購入し、買い手はもちろん、借り手もつかずに途方に暮れるという、日本中のあちこちで見られた風景が、この業界でも盛んに見受けられた。

 医者の不養生ではないが、弁護士も世俗の例に漏れず、この手の設け話には弱いようだ。しかも、弁護士というと、盛んに投資話を持ち込んでくる者がいるから、気をつけなければなるまい。弁護士は破産すると資格を失うので、○○先生は、何とか借り入れを繰り返して息を繋いでいるんだというような噂もよく耳にした。同期が就職を予定していた事務所も、ボス弁の破産の危険が高くなって、直前に就職を取りやめたということもあった。もっとも、当時は修習生の売り手市場だったから、さほど大事にはならなかったし、この先生も最終的に破産は回避できたようだが。

 バブルの功罪は、一言で語り尽くせるものではない。しかし、少なくとも、今この業界にバブル破産の打撃が加わったら、生き残れるのはごく一部に過ぎないだろう。投資の穴を実業で埋められるほど、今この業界にキャパシティーがあるとも思えない。

 アベノミクスはバブルの再来になるかもしれない。そんなときだけは、また弁護士が持ち上げられ、多くの投資話が持ち込まれるのだろう(実際、私の事務所にも、投資用不動産や投資ファンドの案内などがちらほら届くようになってきている)。バブル崩壊の時期に弁護士となった私は、根本的に警戒感があるので、設け話には興味がないが、かつてのバブル世代やロストジェネレーションの世代は危ういところにいるのかもしれない。

 弁護士の評価がまたさらに下がるような事態にならないことを祈りながら、また指をくわえていることにしよう。



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