司法ウオッチ<開かれた司法と市民のための言論サイト>

 

 弁護士は定年がないからいいですよね、とよく言われる。もちろん、自分で自分の人生の行く末を決めることができるのはありがたいと思うが、できることなら、さっさと引退して悠々自適の生活をしたいと思っている私としては、曖昧にはぐらかすしかない。

 
 昔の弁護士は、大事務所のボス弁で大儲けでもしない限り、徐々に仕事を減らしながら、細々と食いつなぎ、最後は、月に何件か国選事件でも受けて、セミリタイヤ、というのが、平均的に思い描く老後の人生設計だったのではないか。

 

 

 あまり心躍る老後とは思えないが、実際、一昔前は、国選をかき集めてそれなりの生活をしている高齢の弁護士がいて、中には明らかに手を抜きまくり、「国選爺さん」などと陰口を叩かれていて、ああはなりたくないもんだと思いつつ、ちゃんと貯金しないと末はあれか、と思い悩んだものだ。

 
 今思えば、牧歌的な夢物語になってしまったが、こういう、いわば最後の拠り所であった国選が当てにならなくなった今、弁護士の老後設計はどのように準備すべきなのだろうか。

 
 事務所を大きくして、イソ弁に働いてもらうというのが、一番セレブなあり方なのだろうが、これは私には縁がない。無理やりにでも収入を維持しようとすると、事件屋に付け込まれて人生そのものを棒に振ってしまうおそれもあろう。バブル期の弁護士の中には、老後のために投機に走って身を持ち崩した人もいるはずだ。ロースクールや大学の教員に転身できるのはごく一部だろう。

 

 若いころから余計なお金を使わず、清貧を心がけ、能力が衰えたと思ったら、潔く引退するというのが、おそらくベストの道なのだろう。



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